野球少年、野球少女のお父さん、お母さん、そして少年野球指導者の皆さんにとって役に立つ、勉強になる野球の本を紹介します。
今回紹介するのは、侍ジャパンのコーチとしてチームを世界一に導くことに貢献した、現阪神タイガースの高代延博コーチの「小・中学生に伝えたい!世界に通用する『走攻守』の基本」(竹書房)という一冊です。その中から一部をご紹介します。
キャッチボールでボールを投げる時、「相手の胸をめがけて投げる」のは確かに大切なことです。
しかし、全球そのコントロールを小学校低学年の子に求めるのは酷というものでしょう。
私は小学生くらいの選手にコントロールは求めません。
小学生のうちは「相手の胸を狙って投げよう」より、「いいボール(いい回転で速い球)を投げよう」という気持ちを選手に持ってもらうことのほうが重要だと思います。
「胸に投げろ」とコントロールを求めると、的当てのような縮こまった投げ方(いわゆるダーツ投げ)になり、それでは正しい投げ方も、ましてやいいボールを投げることもできなくなってしまいます。
幼い子供たちにとっては、「相手の胸に投げられた」ということより、「速いボールが投げられた」「いいボールが行った」ということのほうが大きな喜びなのです。
そんなことから、私は小学校低学年くらいの選手たちには、キャッチボールをさせるのではなく、ネットなどに思いきりボールを投げる練習をさせたほうがいいと思っています。
たとえば、ネットにヒモなどで目標となるものを結びつけ「外れてもいいから、あの目標に向かって思いっきりボールを投げなさい」と選手に言います。
すると選手たちは暴投も気にせず、喜んでビュンビュン投げる。
指導者はそれを後ろから見ながら、相手のレベルに合わせて「踏み込む足が開いてしまっているよ。足は真っ直ぐに踏み込むんだよ」、「ヒジがちょっと下がっているよ」などと教えてあげるようにしてください。
いいボールが投げられれば、子供は「あ、いいボールが行き出した!」と自分で気づきます。
どのように投げれば、いいボールが行くのか?
どうやったら速い球が投げられるのか?
そのことを選手自身に気づいてもらうには、ネットに向かって投げさせるのがもっとも有効な練習法だと思います。
硬めのネットなどに投げれば、ボールはその都度跳ね返ってきますから、それを捕らせれば守備練習にもなり、まさに一石二鳥です。
プロの世界でも、選手に対して「もっといいボールを投げろ」と言っている指導者をよく見かけます。
でも、それは自分の指導力のなさを公言しているようなもので、私は指導者としてはとても恥ずべき発言だと思います。
また、「もっといいボールを投げろ」という言葉は、選手に余計なプレッシャーをかけることにもなり、イップス(精神的な原因などにより、思い通りのボールが投げられなくなる運動障害)の原因にもなりかねません。
そうすると、いわゆるダーツ投げと呼ばれる、さらに悪い投げ方になってしまいます。
選手は、いいボールを投げようと思っているのに投げられないわけです。
それなのに指導者からそんなことを言われたら、「じゃあ、いいボールを投げるにはどうしたらいいんだよ?」と逆に言い返したくなるはずです。
本当の指導者は、「いいボールを投げろ」などとは絶対に言いません。
「どうやったらいいボールが投げられるのか?」
それを根気強く教えてあげられる人、気づかせてあげられる人が本当によい指導者だと思うのです。
■内容紹介■
侍ジャパンを世界一に導いた、最強の野球術!
「投げる」「守る」「打つ」「走る」の間違いやすい基本を、完全ガイド!
最初は手探りで始めた本書の制作も、
「こんな練習なら子供は喜ぶかな」
「こういう言い方なら分かってもらえるかな」
などと考え出すと、
不思議なことに次から次へといろんなアイデアが湧いてきました。
本書は、小・中学生に「野球の楽しさ」を知ってもらうことを第一に、
「走・攻・守」の基本を掘り下げ、
写真や図解なども交えながら分かりやすく解説しています。
単なる技術本ではなく、野球の楽しさ、素晴らしさを
理解してもらえる内容にしたつもりです
――本文より
今回紹介するのは、侍ジャパンのコーチとしてチームを世界一に導くことに貢献した、現阪神タイガースの高代延博コーチの「小・中学生に伝えたい!世界に通用する『走攻守』の基本」(竹書房)という一冊です。その中から一部をご紹介します。
低学年には「胸に投げろ」とは言わない
キャッチボールでボールを投げる時、「相手の胸をめがけて投げる」のは確かに大切なことです。
しかし、全球そのコントロールを小学校低学年の子に求めるのは酷というものでしょう。
私は小学生くらいの選手にコントロールは求めません。
小学生のうちは「相手の胸を狙って投げよう」より、「いいボール(いい回転で速い球)を投げよう」という気持ちを選手に持ってもらうことのほうが重要だと思います。
「胸に投げろ」とコントロールを求めると、的当てのような縮こまった投げ方(いわゆるダーツ投げ)になり、それでは正しい投げ方も、ましてやいいボールを投げることもできなくなってしまいます。
幼い子供たちにとっては、「相手の胸に投げられた」ということより、「速いボールが投げられた」「いいボールが行った」ということのほうが大きな喜びなのです。
そんなことから、私は小学校低学年くらいの選手たちには、キャッチボールをさせるのではなく、ネットなどに思いきりボールを投げる練習をさせたほうがいいと思っています。
たとえば、ネットにヒモなどで目標となるものを結びつけ「外れてもいいから、あの目標に向かって思いっきりボールを投げなさい」と選手に言います。
すると選手たちは暴投も気にせず、喜んでビュンビュン投げる。
指導者はそれを後ろから見ながら、相手のレベルに合わせて「踏み込む足が開いてしまっているよ。足は真っ直ぐに踏み込むんだよ」、「ヒジがちょっと下がっているよ」などと教えてあげるようにしてください。
いいボールが投げられれば、子供は「あ、いいボールが行き出した!」と自分で気づきます。
どのように投げれば、いいボールが行くのか?
どうやったら速い球が投げられるのか?
そのことを選手自身に気づいてもらうには、ネットに向かって投げさせるのがもっとも有効な練習法だと思います。
硬めのネットなどに投げれば、ボールはその都度跳ね返ってきますから、それを捕らせれば守備練習にもなり、まさに一石二鳥です。
プロの世界でも、選手に対して「もっといいボールを投げろ」と言っている指導者をよく見かけます。
でも、それは自分の指導力のなさを公言しているようなもので、私は指導者としてはとても恥ずべき発言だと思います。
また、「もっといいボールを投げろ」という言葉は、選手に余計なプレッシャーをかけることにもなり、イップス(精神的な原因などにより、思い通りのボールが投げられなくなる運動障害)の原因にもなりかねません。
そうすると、いわゆるダーツ投げと呼ばれる、さらに悪い投げ方になってしまいます。
選手は、いいボールを投げようと思っているのに投げられないわけです。
それなのに指導者からそんなことを言われたら、「じゃあ、いいボールを投げるにはどうしたらいいんだよ?」と逆に言い返したくなるはずです。
本当の指導者は、「いいボールを投げろ」などとは絶対に言いません。
「どうやったらいいボールが投げられるのか?」
それを根気強く教えてあげられる人、気づかせてあげられる人が本当によい指導者だと思うのです。
「世界に通用する『走攻守』の基本」(竹書房)より
■内容紹介■
侍ジャパンを世界一に導いた、最強の野球術!
「投げる」「守る」「打つ」「走る」の間違いやすい基本を、完全ガイド!
最初は手探りで始めた本書の制作も、
「こんな練習なら子供は喜ぶかな」
「こういう言い方なら分かってもらえるかな」
などと考え出すと、
不思議なことに次から次へといろんなアイデアが湧いてきました。
本書は、小・中学生に「野球の楽しさ」を知ってもらうことを第一に、
「走・攻・守」の基本を掘り下げ、
写真や図解なども交えながら分かりやすく解説しています。
単なる技術本ではなく、野球の楽しさ、素晴らしさを
理解してもらえる内容にしたつもりです
――本文より