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子どもにおすすめ! 制球力を高めるための遊び「パラボリックスロー」

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野球少年、野球少女のお父さん、お母さん、そして少年野球指導者の皆さんにとって役に立つ、勉強になる野球の本を紹介します。
今回紹介するのは、『新しい少年野球の教科書 科学的コーチングで身につく野球技術』(カンゼン)です。筑波大学硬式野球部監督の川村卓准教授が、これまでの研究結果や経験をベースに考案された、小学生年代に特化した野球技術の指導本です。その中からの一部をご紹介します。




制球力を高めるための遊び


放物線で目標を狙う


「コントロールをよくしたい」と、野球選手であればだれもが思うことだろう。ピッチャーだけでなく、野手にとっても、野球選手として生きていくうえで大事な要素のひとつになる。

筑波大では研究機関としてさまざまな試みをしているが、「これでコントロールがよくなった」とおすすめできるのがパラボリックスローだ。パラボリックとは「放物線」の意味。投げ手から離れたところにゴミ箱やボールカゴを置き、目標めがけてフワリと投げ入れる。

きっかけになったのは、運動学習を専門分野にする先生の言葉だった。バスケットボールのフリースローを研究していくなかで、気づいたことがあるという。
「フリースローが得意な選手は、奥行きの感覚が優れている。たとえば、自分からカベまでの距離が何歩であるか、ほぼ正確に当てることができる。こうした感覚が、コントロールにつながっているのではないか」

私たちも、無意識のうちに目標までの距離を判断して、投げる力を調整している。10メートルと20メートルの距離で行うキャッチボールであれば、力の入れ具合を変えているはずだ。

この奥行きの感覚を、遊びのなかで磨いていくのがパラボリックスローとなる。大事なことは、目標を狙うという行為であって、カゴに入ったかどうかは問わない。立って投げてもいいし、座って投げてもいい。くしゃくしゃに丸めた紙やティッシュをゴミ箱に入れるように、遊び感覚でトライしてみてほしい。

小学生に対して、パラボリックスローをやる前と後で「制球力テスト」(的の真ん中に当たれば3点、周りに当たれば2点と点数化)を実施したところ、平均4点の制球力アップが見てとれた。「たった4点?」と思うかもしれないが、放物線を投げているだけで4点もアップするというのは、過去のさまざまなメニューと比べても、かなりの効果がある。

シニアリーグの中学生にも協力してもらい、週3日で計30球、それを4週間にわたって実施してもらった。このときも、チーム全体の制球力が上がった。

投げ手と目標物との距離は、小学生であれば5メートルほどでいい。大学生は、10メートルの距離を取っている。目的は放物線を描くことなので、大学生で5メートルの距離にすると、ヒョイと投げられてしまう。投げ手と目標物の間に、あえてティーネットを置いてみるのも面白いだろう。「ネットを越えてからカゴに入れる」という約束事をもうけることで、放物線で投げざるをえなくなる。

筑波大でいつも使っているのは直径センチのゴミ箱だ。公園にあるようなゴミ箱で、43センチというのはホームベースとほぼ同じ大きさとなるので採用した。ホームベースの横幅は43.2センチ。ボールが少しでもかすればストライクと考えると、7個分のボールが入る。

また、どこまで効果があるかわからないが、さまざまな重さ、大きさ、種類のボールを投げるようにしている。ボールをつかんだときに、手のひらや指でボールの違いを判断して、それによって奥行きを調整しようとする力が働くのではないかと仮説を立てている。
バドミントンのシャトルを使うのも面白い。斜め上に投げ上げて放物線を描かなければ、ゴミ箱に入ってくれない。投げ上げようとすることで、ヒジが上がるようにもなっていく。

(2章 投手の指導法「制球力を高めるための遊び」より)











■内容紹介■

プロ指導者も学ぶ野球コーチングの基本
ジュニア年代に特化した年代別指導メソッド

すべての教え方には、明確な根拠がある!
科学的理論に基づき、年代別の野球指導を体系化
ケガを予防し、「投球・打撃・守備」の正しい野球動作を習得

QRコードで練習メニューの動画を確認できる!
スペシャルインタビュー 吉井理人(千葉ロッテ一軍投手コーチ)収録

本書はこれまでの研究結果や経験をベースに考案された、小学生年代に特化した野球技術の指導本です。

成長段階の子どもたちには、「できることとできないこと、教えたほうがいいことと教えないほうがいいこと」があります。

例えば、身体的に未発達で骨格がまだ出来上がっていない小学生が、プロ野球選手のような投げ方ができるわけがありません。
ヒジを上げたくても、上がらない子もいる。体に負担がかかりすぎて、投球障害につながる恐れもあるのです。
そこで野球未経験の子どもたちや、身体的に未発達の小学生・中学生の時期に、
何をどのように教えていけばいいのかを1冊にまとめました。

子どもにもイメージしやすいように、さまざまな練習方法を動画で確認にできるようにしましたので、
あわせて役立ててください。

【目次】

インタビュー 吉井理人(千葉ロッテマリーンズ投手コーチ)

1章 発育発達の基礎知識

「子ども」と「大人」の体は違う
「子ども」と「大人」の境界線
骨の成長とトレーニングの関係性
骨端線とヒジ痛の関係性
障害リスクのガイドライン…など

2章 投手の指導法

成長期のボール投げ
ヒジを上げて投げる重要性
ヒジの上げ方は2種類ある
投げ方と姿勢の関係性
投球に関わる肋間筋の柔軟性
ヒジを上げるための方法論
理想的な下半身の使い方
体重移動時の軸足の動き
お尻が上がる投球フォーム
投球時の指の使い方を知る
指の力の方向と球速の関係性
制球力を高めるための遊び…など

3章 守備の指導法

ポジションを固定しない
「捕る」より先に「逃げる」を教える
柔らかいハンドリングを身につける
「捕る」と「投げる」をつなげる
ゴロ捕球の正しい姿勢を知る
ゴロ捕球上達のステップ
「投球」と「送球」の違い
スナップスローを身につける
トップレベルのゴロ捕球を分析
フライ捕球の指導方法
キャッチャーのキッチングを学ぶ
スローイング技術を高める
勝つために必要なピッチャーの守備…など

4章 打撃の指導法

打撃指導のステップアップ
捻転動作を身につける
体重移動の感覚を養う
体重移動を養うスイングドリル
構えのポイント
投球の到達時間に気を配る
軸足でタメを作る
バットの握り方を学ぶ
インサイドアウトのバット軌道
コース別の対応方法
「変換効率」を上げていく…など

5章 ジュニア期のコーチング

「きわめる」から「わきまえる」へ
野球のゲーム性を学ぶ
成長期に起きるクラムジーやタイトネス
身長とパフォーマンスの関係性
デュアルタスクの重要性
子どもの遊びは「回遊性」がカギ…など

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