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紅白戦から垣間見える、話題の少年野球チームに子どもが集まる理由

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神奈川県川崎市に新しい少年野球チームが誕生した。チーム名は「ブエナビスタ少年野球クラブ」。チーム設立からわずか半年ほどで30名超の子ども達が集まり、メディアでも紹介され話題となりました。少年野球人口が減少しているといわれる現在、なぜ短期間に多くの子ども達が集まったのでしょうか? 支持されるチームの魅力はどこにあるのか? 週末の多摩川河川敷で行われていた紅白戦をのぞいてみました。




この日はチーム結成から3回目となる紅白戦。試合前から多くの子どもたちの顔からも、グラウンドを見守る父兄の顔からも笑みが溢れている。この紅白戦を楽しみにしていた様子がうかがい知れる。
現在の部員数は33名。6年生はおらず、5年生が6名、4年生が10名、3年生が10名、2年生が6人、1年生が1名(9/14時点)。川崎市外からも5人が通っているという。他チームから移籍してきた子どもも数名いるものの、ほとんどの子どもはブエナビスタが初めての野球チームだ。



試合前にはベンチ前に整列する、ホームベースを挟んで挨拶をするという、いわば野球の試合の作法、所作を監督、コーチが子どもたちに教えるところから紅白戦はスタートした。投球練習中にバッターボックスに入ってはダメ、次のバッターはネクストバッターサークルに入って待っておくなど、野球経験者からすれば当たり前のことなども、丁寧に説明しながら試合を進めていた。
ちなみに、ピッチャーには30球の球数制限があり、左利きの子がセカンドを守るなど守備位置も柔軟に決められ、頻繁に変更もされていた。そして1、2年生も含めた全員が出場した。



紅白戦の中で、このチームの方針を象徴するいくつかのシーンがあった。
プレイボール直後、先頭打者がいきなりセーフティーバントを試みた。このボールは守備側がうまく連携してアウトにしたが、ベンチの監督、コーチたちは驚きの表情で「あんなプレー、どこで覚えたんだろう?」と顔を見合わせ、戻ってきた子に「すごいね! いい狙いだったよ!」「ナイストライ! ナイストライ!」と声をかけていた。

ファーストの子がイージーなフライを落球した場面では、その子がすぐにボールを拾いベースを踏んで間一髪アウトにした。
「何やってんだー!」そんな罵声や叱責の声が飛ぶことはもちろんなく、「いいぞ! ナイスリカバリーだ!」という声が監督、コーチから次々と飛んだ。
子どもが空振り三振すれば「ナイストライ! よく振った!」、ピッチャーのストライクが入らなくても「いいボールきてるぞ!」。
試合中は監督、コーチ、父兄からそんなポジティブな声が飛び交った。



こんなシーンもあった。
セカンドフライで一塁ランナーの子が二塁ベースまで走ってしまい、ダブルプレーになった場面。ランナーの子はまだルールもよく把握できていないように映ったが、次の瞬間、監督から「はい、リプレー!」の声がかかった。試合を止めて今のプレーを再現し、子どもたちと検証をはじめた。子どもたちにこの場面でランナーはどうすればよかったのか? それはなぜか? を考えさせた。
練習は週に半日だけという限られた時間の中であっても、大人はすぐに答えを教えない。時間がかかっても子どもたちに考えさせる。「試合に勝つこと」を最優先する方針のチームであれば、こういうアプローチはしないはずだ。

ちなみに、チームのホームページには次のような方針が掲げられている。

「心と体の健全な育成」
「勝利至上主義ではなく人材育成主義」
「コーチング学スポーツ科学を専攻する大学生による指導予定」
「練習時間1/4ルール」(基本、土日どちらか半日練習)
「適度な試合数と試合時の厳密な投球制限による肩、肘酷使の防止」
「罵声の指導禁止」
「親御さんの負担はミニマム」(お茶当番なし)
(ブエナビスタ少年野球クラブホームページより)

朝8時に始まった紅白戦が終了したのは10時。これでこの日は解散となった。

子どもの野球離れ、少年野球人口の減少が指摘される中で、ブエナビスタに子どもが集まる理由が分かった気がした。そんな紅白戦だった。
(取材・写真:永松欣也)

*次回「『罵声なし、週に練習半日』の少年野球チームの監督に聞きました!」に続きます。
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