ニュース 2019.10.08. 17:00

野球にも取り入れたい「バドミントン」の練習

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オフシーズンにはクロストレーニングといって、野球以外のさまざまなスポーツに挑戦し、普段とは違った動きを通して運動神経を刺激したり、偏った体の使い方を改善させたりしながらスポーツそのものを楽しむことが推奨されています。




アメリカでは、ジュニア期には夏に行うスポーツと冬に行うスポーツを二刀流で行うことも多く、運動神経を養い、筋力バランスを整えるという観点からも積極的に行われています。野球選手にオススメのクロストレーニングはいくつか挙げられますが、その中でもバドミントンは楽しみながら野球の技術向上も期待できるスポーツの一つといえるでしょう。

バドミントンは野球と同じく、腕を頭の上に挙げるオーバーヘッド動作が多く、また地面に足をついた状態で下半身から上半身へ力を伝える運動連鎖によってパワーを生み出します。この一連の動きがスムーズに行えるようになると、力強いスマッシュが打てるようになります。野球の投球動作においても下半身から上半身にかけて、力をうまく伝達しながら最終的にボールに伝えることが大切なので、バドミントンのスマッシュ動作によって改善が期待できます。
ある研究では、投球動作でみられる一連の運動連鎖が改善し、投球スピードの向上に関与したと報告しています(村上光平ら、「バドミントンのスマッシュが野球選手の投球速度および動作に及ぼす影響」、スポーツパフォーマンス研究、2019:http://sports-performance.jp/paper/1847/1847.pdf)。

さらにスマッシュ動作では肘が肩の位置から下がった状態で打つことはむずかしいため、肩甲骨を引き寄せてから腕を振ったり、胸を大きく開いて胸郭の柔軟性を高めるように体を使う等、投球動作でのケガを防ぐ腕の振り方が自然と身につきます。

ただしバドミントンは同じ利き腕で行うため、全力でスマッシュ動作を続けるとやはりケガのリスクが高まります。ペアでバドミントンのラリーを行う時にはラリーを3〜4セットとし、腕の振り方を確認するという意識で体を大きく使いながら行うようにすると良いでしょう。雨の日などグランドが使えないときなどに、リフレッシュを兼ねてバドミントンを行うことも、よい練習方法の一つかもしれませんね。

著者プロフィール


アスレティックトレーナー/西村典子(にしむらのりこ)
日本体育協会公認アスレティックトレーナー、NSCA-CSCS、 NSCA-CPT。東海大学スポーツ教育センター所属。高校、大学など学生スポーツを中心としたトレーナー活動を行う一方で、スポーツ傷害予防や応急処置、トレーニングやコンディショニングに関する教育啓蒙活動を行う。また一般を対象としたストレッチ講習会、トレーニング指導、小中学生を対象としたスポーツ教室でのウォームアップやクールダウンといったさまざまな年齢層への活動がある。一般雑誌、専門誌、ネットメディアなどでも取材・執筆活動中。
大阪府富田林市出身。奈良女子大学文学部教育学科体育学専攻卒。
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