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立花龍司さんに聞くコーチング「質問することで選手自ら考える力がつく」

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近鉄、ロッテ、ニューヨークメッツ、楽天でコーチを務め、日本野球界のトレーニングコーチとして草分け的な存在と言える立花龍司さん。現在は千葉と大阪で治療院を併設した『タチリュウジム』を監修する傍ら、ジュニア年代から社会人野球まで多くのアマチュア選手の指導、講演活動を行っています。そんな立花さんに現在のジュニア年代における指導の問題点や、コーチングにおいて重要なことについて話を聞きました。




■そもそも「コーチ」の語源を知っていますか?


講演で話をするときもまず「コーチの語源を知っていますか?」というところから始めます。指導者、コーチと言われる人がその意味、語源を知らないことは恥ずかしいことですよね。でも多くの指導者の方に聞いても手が挙がることは少ないです。

コーチを辞書で調べると、(1)スポーツの指導者、(2)家庭教師、(3)長距離客車、(4)馬車と書いてあります。1500年代にコーチという村で馬車が初めて作られたことが語源で、1600年代になって指導を意味するコーチングが家庭教師というところから生まれたと言われています。そして本来の意味は馬車や長距離客車というところからも来ているように、『大切な人たちを目的地まで安全に確実に送り届けること』ということになります。
『大切な人たち』というのは言うまでもなく選手、子ども達のことですよね。『目的地』というのは選手たちがなりたい自分や目標になります。そしてコーチの役割は『安全に確実に送り届けること』。この語源を知っていれば、体罰やパワハラのような指導がいかにナンセンスかということがよく分かりますよね。コーチが選手に恐怖を与えるような指導では安全に、確実に届けることはできません。まずはこの語源を常に繰り返し唱えるだけで、指導者の意識は大きく変わるのではないでしょうか。

■日本の指導の歴史


コーチの語源がイギリスの村からということからも分かるように、コーチングもアメリカから生まれたものです。ただアメリカのやり方をそのまま日本に当てはめれば上手くいくというわけではありません。日本の指導の歴史を知ったうえで、やり方を考える必要があります。

まず日本とアメリカなど欧米との大きな違いはスポーツというもののとらえ方にあります。欧米ではスポーツがNational Pastime(ナショナル パスタイム)、国民的な娯楽でしたが、日本にはそういう発想はありませんでした。日本のスポーツの前進は武道。つまりいかに優秀な兵士を養成するかということが目的なんですね。そうなると当然楽しむという考えにはなりません。それは野球においても同様でした。

そのような考え方から生まれた日本の指導法が『命令絶対服従型』のコーチングです。指導者が言うことは絶対。そこには対話などはありません。でもこのコーチングでもある程度は結果が出るんですね。ただあくまでも『ある程度』です。こういうコーチングで育った選手はみな自分で考えなくなる、いわゆる指示待ちの人間になります。

1964年に前の東京オリンピックがあり、その時に海外の指導者によってようやく日本のコーチングが遅れていることが指摘されます。そのことで当時若手だった指導者の一部がこのままではダメだということに気がつき、選手に質問を投げかけるようになりました。そこから徐々に指導法が変わってきていますが、まだまだ命令絶対服従型の名残は強く残っているというのが日本のスポーツ、特に野球界の現状だと思います。
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