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立花龍司さんに聞くコーチング「怒ると叱るは違う。基本的には褒める」

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日本野球界のトレーニングコーチとして草分け的な存在と言える立花龍司さんのインタビュー。前回はコーチという言葉の語源、従来の日本型のコーチング、最新のコーチングなどについてお話をうかがいました。今回は更に踏み込んで、コーチングの具体的な事例についてお届けします。




■コーチングは時間がかかるもの


最新のコーチングは『質問、気づき、気づかせ、提案型』とお話しました。またコーチは学び続けることが必要ともお話しました。そこでよく勉強しているコーチにありがちなことで自分もそうだったんですが、勉強したことを全て選手に言いたくなるんですね。でもそれだと選手が『気づく』ことにはなりませんし、『提案』とも言えません。まずは選手に質問するためには、よく観察する必要があります。そしてコーチが気づいたことを選手に質問して、一緒に考えたり選手に考えさせたりする。そして最後に背中を押すのが提案です。これをやることは凄く時間がかかるんですよね。「これをやれ!」と命令した方が早くて楽なことは間違いありません。

ただ時間がない時にはその時なりの手法もあります。それが『足し算のコーチング』です。選手が今できることを挙げて、更にそこからできるようになることを想像させる。そうすることで選手が納得して動きやすくなります。逆によくあるのが『引き算のコーチング』。ここができない、これが苦手。だからこれをやれ、というものですね。これだと選手にも響きませんし、効果は持続しません。

■「怒る」と「叱る」は違う。基本的には褒める


これも良く言うことですが『怒る』と『叱る』は違います。怒るは感情的で、叱るは論理的です。子どもに対しても危険なことをした時などは叱ることは必要です。そこで怒ってしまうと子どもにとっては大人が凄く大きく怖いものに見えて、トラウマになってしまうことが少なくありません。そして激しく怒られるとフラッシュバックして同じことを繰り返してしまうという実験結果も出ています。逆に上手くいったことを褒めると、それも強く心に残って、上手くいったことを繰り返すということも分かっています。

私がニューヨークメッツ(MLB)にいた時、ショートにレイ・オルドニェスという守備の名手がいました。彼がある試合で打球の前を通ったランナーのせいでエラーをして負けたことがあったんですね。その試合が終わった後、その日のうちに担当のコーチは同じ状況でノックを繰り返し受ける練習をさせました。決して罰という意味合いではありません。そのノックを簡単にさばく様子を見てコーチが「お前くらいの選手はこれくらいのプレーはできて当たり前だから大丈夫だよ」と言ったんですね。そうすることで選手はまた前向きになりますよね。成功体験をすぐ再現させる。そして褒める。そのことが重要だと感じる例でした。

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