ニュース 2019.11.22. 17:00

前年比9,000人以上も減少した高校野球の競技人口

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今季の高校野球界で明記しておかなければならないのは「硬式野球の競技人口がはっきり減少に転じた年」だということだ。

日本高野連は、毎年、高校野球の硬式、軟式野球部の部員数と加盟校数を発表している。
ここ10年の硬式野球部の部員数の推移は以下のようになる。(%)は前年比での増減。

2010年 168,488人
2011年 166,925人(-0.93%)
2012年 168,144人(+0.73%)
2013年 167,088人(-0.63%)
2014年 170,312人(+1.93%)
2015年 168,898人(-0.83%)
2016年 167,635人(-0.75%)
2017年 161,573人(-3.62%)
2018年 153,184人(-5.19%)
2019年 143,867人(-6.08%)

10年前の2010年といえば、中体連の統計によれば中学軟式野球部の男子部員数がはっきり減少に転じた年だ。2015年頃にはこれが各地で大きなニュースになっていたが、この時期まで高校野球だけは、増えてはいないものの、はっきりした減少傾向も見られなかった。
しかし、2017年ころから高校野球でも減少傾向が顕著となり、今年は前年比で9,000人以上の減少。2010年と比較すれば、14.6%もの減少となっている。

部員数が減少しているのは、当然、新入部員数が減少しているからだ。2010年の1年生の部員数は61,935人だったが、2019年は48,036人。実に22.4%も減少している。
現在の高野連の「部員数」の中には、女子のマネージャーや試合の時だけ出場する選手なども入っていると思われる。実際の競技人口はさらに減少している可能性もある。

この間の、日本高野連に加盟する硬式野球部の数はどうなっているだろうか?

2010年 4,115校
2011年 4,090校(-0.41%)
2012年 4,071校(-0.46%)
2013年 4,048校(-0.56%)
2014年 4,030校(-0.44%)
2015年 4,021校(-0.22%)
2016年 4,014校(-0.17%)
2017年 3,989校(-0.62%)
2018年 3,971校(-0.45%)
2019年 3,957校(-0.35%)

学校数も毎年少しずつ減少しているが、その減少幅は部員数よりも小さい。10年前との比較では3.8%の減少にとどまっている。

これは、2012年に日本高野連が「連合チーム」での大会参加を認めたことが大きいと思われる。これによって、部員数が9人未満の学校でも廃部をまぬがれ、高野連に残留することが可能になる。
この結果、1校あたりの部員数は2010年は40.9人だったが、2019年には36.4人になっている。

これまで、甲子園の優勝校は「全国4,000校、15万高校球児の頂点」と言われてきたが、この表現も改めなければならなくなっている。

高校硬式野球の競技人口は、全国的に減少しているが、都道府県によって偏りがある。2010年との比較で減少率の大きい都道府県、小さい都道府県を出すとこうなる。

減少率の大きい都道府県

1福島県 -26.9%(3,480人→2,544人)
2鹿児島県 -25.7%(3,242人→2,410人)
3大阪府 -25.2%(9,029人→6,754人)
4奈良県 -24.5%(2,124人→1,603人)
5新潟県 -23.9%(3,427人→2,609人)
6青森県 -23.5%(2,501人→1,914人)
7秋田県 -23.0%(2,179人→1,678人)
8熊本県 -21.1%(3,226人→2,546人)
9北海道 -20.7%(7,493人→5,945人)
10高知県 -20.5%(1,179人→937人)

東北、九州、北陸など大都市圏から離れた地方での減少が顕著だ。この間に起こった東日本大震災や熊本地震などの影響があった可能性もある。
しかしながら、その中に甲子園優勝回数最多で、最も野球が盛んな都道府県の一つとされる大阪府とその隣県でこちらも「野球どころ」として知られる奈良県が入っているのが目を引く。どちらの地域もこの10年で部員数が約4分の3に減っている。

減少率の小さい都道府県

1福井県 +7.4%(1,229人→1,320人)
2島根県 +5.1%(1,503人→1,580人)
3岐阜県 -2.8%(2,969人→2,887人)
4岡山県 -4.0%(2,783人→2,672人)
5和歌山県 -7.3%(1,582人→1,466人)
6徳島県 -7.8%(1,107人→1,021人)
7広島県 -7.9%(4,018人→3,699人)
8群馬県 -9.2%(2,890人→2,623人)
9茨城県 -9.7%(3,825人→3,454人)
10東京都 -10.1%(10,933人→9,828人)

10年前との比較で、硬式野球の競技人口が増加したのは47都道府県中、福井県、島根県の2つだけだ。両県ともにもともとの競技人口が少なく、増加数は数十人のレベルに留まっている。
減少率が低い都道府県にはっきりした傾向は見られないが、中部、中国地方の都道府県が多い。

この間、高校の軟式野球の競技人口も減少している。

2010年 11,014人
2011年 10,983人(-0.28%)
2012年 10,797人(-1.69%)
2013年 10,945人(+1.37%)
2014年 10,535人(-3.75%)
2015年 10,307人(-2.16%)
2016年 9,561人(-7.24%)
2017年 9,303人(-2.7%)
2018年 8,755人(-5.89%)
2019年 8,214人(-6.18%)

10年前との比較では、硬式野球の減少率を上回る25.4%の減少だ。

今年、日本高野連は「高校野球200年構想」を打ち出し、野球の裾の拡大のために高校野球も努力することを打ち出したが、中学校以下の競技人口の減少傾向が続いている現状では、当面の減少傾向には歯止めがかからないことが予想される。

高校野球だけでなく、プロ野球、社会人野球から学生野球、少年野球まで含めた日本野球界が「日本野球の未来」を考えるべき時期が到来したといえるだろう。(広尾晃)

【参考】公益財団法人日本高等学校野球連盟HP
http://www.jhbf.or.jp/data/statistical/index_koushiki.html
http://www.jhbf.or.jp/data/statistical/index_nanshiki.html

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