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「育成のカタチ」ソフトバンク高村祐一軍投手コーチ

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11月30日、12月1日に法政大学多摩キャンパスで、日本野球科学研究会第7回大会が開催された。日本野球科学研究会は、野球に関する広範な研究を専門とする研究者と、プロ、社会人、大学、高校などの野球指導者、トレーナー、企業の研究者などによる研究会。毎年1回、研究会のメンバーが一同に会し、成果を発表する大会を開催している。
今回のテーマは「普及と育成 そのカタチ」。第1日目のシンポジウム(1)は、育成のカタチ「ソフトボール打者と野球投手の育成」。シンポジストは、佐藤理恵氏(法政大学大学院)と、福岡ソフトバンクホークスの高村祐一軍投手コーチ。
高村コーチは法政大学から1991年、近鉄にドラフト1位で入団し新人王。以後、近鉄、楽天で通算83勝を挙げた名投手。引退後は指導者となり、現在はソフトバンクのブルペンコーチを務めている。このシンポジウムでは自身の投手育成法を紹介した。あくまでプロ野球投手の育成法だが、アマチュア野球指導者にとっても非常に役立つ内容だったので、エッセンスを紹介する。

■選手を「見てあげる」ことの大切さ


投手の育成で大事なことは、その選手を「見てあげる」ことです。
練習だけでなく、食事の仕方や人に対する挨拶の仕方、そういう彼らの動作を私は見ています。
もちろん、声をかけることもありますが、じっと見ているだけの時もあります。そして気になったことは手帳などに書いています。特に大事なことに気づいたときは、書き留めます。
見るときに、頭の中にあるのはその選手の「既往歴」です。
今まで小中高校と、どれだけの故障をしていたのか。球団にお願いをして、選手の既往歴を細かく調べてもらっています。
既往歴が頭に入っていると、例えば肘を故障した選手が、風呂場でどんな頭の洗い方をしているのかを見ると、その選手の今の肘の状態がわかったりします。
投手の場合、そういうちょっとした細かな部分でも大切です。
もちろん、こうした選手の状態については、トレーナーやトレーニングコーチと情報共有しています。
既往歴を知っていれば、技術の進め方、トレーニング、教え方が全く変わってきます。
アマチュア野球と違って、選手個々の情報がたくさんありますので、聞いたり調べたりできることも多いです。
そして、既往歴によってトレーニングや、栄養摂取の仕方も変わってきます。そういう点は昔と大きく違いますね。
私はブルペン担当です。シーズン中、ほぼ毎日投げている投手に、投げさせない日をどれだけ作るかを決めたり、投手の状態をどれだけいいコンディションに持っていけるかを考えていますが、そのうえでも「既往歴」をしっかり把握することは大切ですね。

■選手にどれだけ「考えさせるか」


コーチは選手に「教えるもの」だと思われていますが、大切なことは「どれだけ選手に考えさせるか」です。
教えるのは大事ですが、教えないことも大事です。
答えを先に言うのではなく、いかに自分で考えて行動できるか、選手自身が自主性をもって行動できるかが非常に重要です。
人を成長させるためには「自分で考えて行動する」ことが、大事だと思います。
コーチの役割は、選手に自分で考えてもらうために、どんな材料をどれだけ与えるかを考えることです。
たくさん材料を与えればいいというものではありません。時には何も与えない方がいい時もあります。たくさんある材料の中から1つだけ与えるときもあります。
その材料で、本人が考え抜いて行動してくれて、一つ一つ階段を上ってくれることが大事です。

■自分で気づいて修正できる能力を身に着けさせる


ときには、選手が自分で考えて行動した結果、違う方向に向いてしまうこともあります。
プロ野球では12月、1月は自主トレの時期ですが、この期間中に自分で動作解析などを見てフォームを改造し、ちょっと違うフォームになることがあります。
2月1日にキャンプインして、ブルペンで投げさせてみるとフォームが変わっていることがあります。
でも、選手が一生懸命考えたフォームですから、それを否定してはいけません。確かにそのフォームは正解である場合もある。失敗しているかどうかは、やってみないとわかりません。頭ごなしに否定しては、選手が委縮して成長できなくなります。
だから、見るべきところを見て、問題があるなと思ったら、否定せずにその都度アドバイスをします。
選手自身が失敗に気づいてそれを直そうとしないと、得るものはありません。そういう形で自分で何かをつかむことで、次につながると思います。
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