ニュース 2020.09.25. 10:57

盗塁フリーパス問題|トータルテンボス藤田の「ハンパねえ!学童野球」

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学童野球の大会は大きく分けて5・6年生がメインで構成される「A」、5年生以下の「B」、4年生以下の「C」でカテゴリーされています(呼び名は地域によって様々でしょうが)。ちなみにウチの地域は「メジャー」「新人戦」「マイナー」と分けられています。

ある日の「マイナー」の大会で事件は起きました。
ウチのチームではないのですが、初回に20点取られたチームがありました。
4年生以下なのでストライクが入らずに四球、フリーパス状態で二盗、三盗でノーアウト3塁。
またまた四球で盗塁、無死2、3塁。そして四球。
そこから押し出し、パスボール、ゴロやフライエラー、もれなく出塁すると盗塁に次ぐ盗塁。
取りも取ったり初回に20点!

その裏の攻撃では守り疲れや気持ちの折れた子ども達はあえなく無得点。
そして、2回表にまた同じ光景です。
結局、時間により2回で終了になりました。

四球やエラーは仕方ないと思いながら観ていましたが、1つ気になったことがありました。
それは「こんな状況で盗塁って必要なのか?」ということです。
完全に無しとは言いませんが、何か他に方法があるんじゃないかなと。

で、考えたのが「マイナー」戦に限り、同一イニングで4点差ついたら盗塁禁止というのはどうでしょうか?
これであればピッチャーの牽制技術は損なわれないですし、ランナーの離塁や帰塁等の走塁技術も損なわれません。
キャッチャーからの二塁送球の技術も損なわれません。
ただ、4点差ついたら盗塁は無しで「しっかり打って還そうよ!」ということです。

「この案、どうでしょうか?」とちょっと前に自分のFacebookに投稿したところ賛否両論でした。
否定意見の中にはこういう声がありました。

「それでは野球ではなくなってしまう」
「中学や上に行った時に走塁技術の差ができてしまう」

まず、「それでは野球で無くなってしまう」という意見に対しては、そもそもの「野球」って何ですか? と言いたいです。

硬式? 軟式?
どっちが本当の「野球」ですか?

7イニング制? 9イニング制?
どっちが本当の「野球」ですか?

金属バット? 木製バット?
どっちが本当の「野球」ですか?

盗塁のある、無しではなく、もっと手前の段階でこんなに矛盾点があると思います。
ならば学童のしかもマイナー戦ぐらいは同一イニングで4点差ついたら盗塁禁止
これはお互いだからどっちが損という事もありません。

「中学や上に行った時に走塁技術の差ができてしまう」という意見に対しては、誰がその子が中学や上に行っても野球をやるって決めたのでしょうか?
みんながみんなプロや甲子園目指してる訳じゃないですよ?
親がそれを望んでる?
でも子どもが望んでなければやらないですよ?
子どもはそこまでバカじゃないし。

経験を積ませたいのならイニングをより進めさせた方が絶対にお互いのためだし、走塁技術が乏しくなる代わりに打撃技術上がるんじゃないんでしょうか?

あるシニアの監督さんに聞いたら「走塁技術は中学に入ってからいくらでも学べる」とおっしゃっていました。
逆に「野球が楽しくて、好きで好きでたまらない、昔いたような野球小僧が最近はあまりいない」ということもおっしゃっていました。

時代もあるのでしょうね。
僕らが子どもの時は、悔しさを持って上手くなっていくという考えがあったので、負けたらシゴキに近い練習や「20点取られるのは努力が足りないからだ!」と意味不明の根性論でますます練習がキツくなったりしましたが、それは昔の話。
野球が少年スポーツのヒエラルキーのトップに君臨していたから何人辞めてもどんどん人が集まって来ていた時代だからできた事だと思います。

しかし、今は子ども達の選択肢も多様化され、サッカーに流れる子どもの方が多いし(データでは野球人口の減少はサッカーに流れているだけでなく、小学生でスポーツをやる人口自体が減っているという現実があります)それに加えて少子化の問題もあります。

その中で野球なんかはお金がかかるし、土日は潰れるし、保護者の負担も大きいし、色々と敬遠されてきた結果、チーム数もガンガン減っています。
100年後の野球はマイナースポーツかもしれません。

僕らの愛した野球がマイナースポーツに成り下がってしまう。
うぅ〜、、、何と悲しい事でしょう。

野球って楽しいじゃないですか!!

競技自体に魅力があって、楽しいスポーツなのに子ども達から「楽しくない」と思われてしまったらますます衰退していくと思いませんか?

ですから、甘いと言われようがなんであろうが「今」の子ども達に野球の楽しさを知ってもらった上で、勝利の喜びや努力の大切さ、時には悔しさを学んでもらい「学童野球は楽しかったなぁ」で終えて欲しいと思います。
そうすれば中学に行っても野球を続けてもらえるのではないのかなぁと。

本当に大袈裟ではなく、
「子どもに野球をやっていただいてる」という認識。
どうでしょうか?

「お子様方、このルールはお口に合いますでしょうか?」ぐらいの気持ちがあった方が良いと思います(笑笑)。

▼プロフィール
藤田憲右(ふじた けんすけ)
吉本興業所属のお笑いコンビ「トータルテンボス」のツッコミ担当。静岡県御殿場市出身。高校時代は野球部のエースとして3年夏の静岡県大会で2試合連続1安打完封勝利も記録。人気バラエティ番組「アメトーーク!」(テレビ朝日)の人気企画「高校野球大大大好き芸人」で披露した高校野球への愛情、造詣の深さは全国の野球ファンの間でも有名。2016年には「ハンパねぇ!高校野球」(小学館よしもと新書)も執筆しており、全国の野球指導者、選手との交友関係も広い。現在は息子の学童野球を応援する傍ら、色々な学童野球の現場を見て周り様々な情報発信や問題提議なども行っている。8月21日からamazonで配信されている「HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル」シーズン8にも出演中。
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