ニュース 2021.05.29. 15:39

【横浜球友会】子ども達を惹きつけ続ける、人気チームの秘訣に迫る(前編)

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結成22年を迎える学童野球チーム「横浜球友会」(横浜市都筑区)。少年野球人口の減少が叫ばれる中にあっても部員数が70人を超えるチームだ。そんなチームは保護者のお茶当番なし、試合には基本的に全員を出場させるなど、今でこそ良く耳にする取組みを22年前からいち早く行ってきた。子ども達が集まり続ける秘訣はどこにあるのか? 立ち上げ以来指導してきた笹木郁男監督に話を聞いた。




笹木監督がチームを立ち上げたのは1999年。当時務めていた教育・スポーツ関連の会社でサッカースクールを立ち上げ、運営に奔走していた頃、「日本で最初の学童軟式野球クラブチーム」がやりたいという思いから、何度も企画書を作っては提案を行いようやく会社に認めてもらった。それが横浜球友会の始まりだった。2011年には会社から独立し、現在もクラブチームとして運営を続けている。

野球スクールを立ち上げるに当たって意識したのは、自分の記憶の中にある少年野球を反面教師にすることだった。
「小さい頃、父親が少年野球のコーチをやっていましたし、母親も試合や練習にいつも来ていて家族で野球をやっていました。でも中学で硬式野球を始めたとき、保護者が毎回朝早くグラウンド整備をしたり、石拾いをしたりとか、指導者がものすごく偉そうに振る舞っていたりとか、そういうことにすごく違和感を感じました。練習も理不尽なほどにキツくて、1学年5、60人入団してくるんですけど、卒団する頃には20人弱になっている、そんな感じのチームでしたから。だから自分がチームを作るときに考えたのが『絶対に嫌なことはやらない』ということでした」

果たして、立ち上げられたチームは冒頭の通り、保護者のお茶当番なし、試合は全員出場、それに加えて長時間練習は行わない、土日は基本休みという、先進的な方針を掲げたチームとなった。最新のトレーニング方法などを常に取り入れたりしつつも、この方針は今も変わっていない。

■全員試合に出すことに対するこだわり


子ども達全員を試合に出すことにこだわり続ける笹木監督だが、その理由は会社員時代に立ち上げたサッカースクールでのある試合がきっかけだった。
「大会に子どもが12人しか集まらなかったことがあったのですが、試合がものすごく競った展開になってしまって12番目の子だけ試合に出してあげることができなかったんです。試合後にはいつも子どもや保護者を前に話をするのですが、その時は何を話せばいいのか悩みました。『試合に出せなくてごめんな』って謝るのは簡単ですけど、そうするとその子の立場がないなって。それで、試合に出られなかったその子に『○○、今日ありがとうね』って話をしたんです」

続けて試合に出た11人に向かって話した。
「みんなさぁ、今日は○○がベンチで待機してくれていたから思い切ったプレーができたよな? もしケガしてたら、○○がいなかったら(交代選手がいないから)人数を減らして試合をしなくちゃいけなかったんだよな? みんなが思い切ってプレーできたのは○○がいてくれたからじゃないか?」



いい話だ。
「でもー」と笹木監督は続ける。

「『ありがとうな』とは言ったものの、やっぱりその子は試合に出たかったはずなんです。それが、横浜球友会を立ち上げたときに『全員を試合に出す!』ということを決めた出発点というか、考えるきっかけでした。
今は、ベンチの子も全員試合に出して、その後に誰かがケガしてしまって交代選手がいなくなったときは試合放棄になってしまっても、それはそれで仕方がないと思っています」

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