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ニッポン放送・洗川雄司アナ「何の巡り合わせか、2年連続で日本一を実況することに」気温7度も試合は熱かった21年、オリックス日本一の22年日本シリーズ
◆ いつでもみんなのプロ野球!実況アナルームのテーマは“今まで一番熱かった試合”
ニッポン放送・洗川雄司アナウンサーは、2021年と2022年のヤクルトとオリックスの日本一を決めた瞬間を実況し、今でも最も熱かった試合として記憶に残っている。
ヤクルトの3勝、オリックスの2勝で迎えた2021年11月27日にほっと神戸で行われた日本シリーズ第6戦は、気温7度の寒さの中、プレイボール。洗川アナは当時「選手のほとんどがネックウォーマーをつけて、白い息を吐きながらのプレーだったんですね」と振り返る。
試合はオリックス先発・山本由伸が9回を1失点に抑えれば、ヤクルトも先発・高梨裕稔が5回途中1失点に抑え、6回以降はリリーフ陣がスコアボードに0を並べ、1-1のまま延長戦へ。1-1の12回に川端慎吾がレフト前に安打を放つと、二塁走者の塩見泰隆がホームインし勝ち越し。「実況が追いつかないくらいのスピードで生還した瞬間は、もう忘れることはできません」と洗川アナ。この1点のリードを10回途中からマウンドに上がったマクガフが締め、ヤクルトが20年ぶりに日本一を決めた。
5時間に達する試合だったが、洗川アナは「それまでレギュラーシーズンもクライマックスシリーズも当時のコロナ禍への対応で延長戦が行われませんでしたので、実況を持たせるスタミナというのを測れないまま、この年初めて延長12回まで5時間喋ったゲームでした。そんな中、延長12回に入っても全く疲れている意識を感じさせないほど、1つ1つのプレーに意味があって、野球の醍醐味が詰まった一挙手一投足を見せてもらった。自然とのめり込んで実況ができていたんですよね。全く疲れというものを感じませんでしたね」と振り返る。
翌22年もヤクルト、オリックスともにリーグ連覇を果たし、クライマックスシリーズも勝ち抜き、日本シリーズは2年連続で同じ顔合わせとなった。第1戦にヤクルトがホーム・神宮で勝利すると、第2戦、5時間03分の熱戦は12回で決着がつかず3-3の引き分け。戦いの舞台を京セラD大阪に移した第3戦もヤクルトが勝利して対戦成績を2勝とした。第4戦にオリックスが1-0で勝利すると、第5戦は吉田正尚のサヨナラ弾で2勝2敗にする。
神宮球場で行われた第6戦にオリックスが3-0と勝利し、オリックスが日本一に王手をかけた第7戦、「何の巡り合わせか、2年連続で日本一を実況することに」と、洗川アナに実況の機会が巡ってきた。この試合は太田椋の先頭打者アーチでオリックスが先制すると、5回にも4点を追加し5-0とリードを広げる。8回に4点を失ったが、5-4でオリックスが勝利し、96年以来の日本一となった。
洗川アナは「日本一になった瞬間、ふと神宮球場のレフトスタンドを見上げると、そこに“叶うべき夢の先へ”というプラカードが出ていたんですよ。それが私、目に入ったんです。『讃丑歌』というバファローズの応援歌の一節なんですけど、その文字が目に飛び込んできた。思わず、 “近鉄バファローズ、大阪近鉄バファローズを愛した皆さん、バファローズの名を冠したチームが初めて日本一の座につきました”という言葉を発したんです。用意したものではなかったんですけど、思わず口をついて出たんですね」と、今だからこそ語れる実況の裏話を披露した。
「近鉄は1度も日本一になれないままオリックスに吸収合併されていったんですが、その経緯を現場でたまたま居合わせて取材してきた身としては、この文字が目に飛び込んできて、2年越しでオリックスが日本一に輝いた。これはもう本当に記憶に残るぐらい熱い試合を実況させてもらったなと、今でも忘れることはないですね」と明かす。
「どちらのシリーズも結果的には接戦で、最後1点差で決まるんですけれど、接戦の時の1球1球の重み、バッテリーの意図、バッターの読み、こういうところを解説の方に伺いながら中継をお送りすることが本当に楽しいなと感じるようになりましたね。野球の醍醐味である作戦の意図、投球の意図、バッターとしてどういうアプローチで臨むのか、ここを推理しながら中継をお送りする。これをファンの皆さんと一緒に楽しんでいくというのが、より面白いなと感じるようになったのがこの2年続けての日本一の実況だったんです。これは大きなきっかけになりましたね」と、2年連続日本一の瞬間を実況し、その後の実況生活に活きている。
(ニッポン放送ショウアップナイター)


