ニュース 2017.06.23. 18:00

子どもに説明できますか?“全治”と“完治”の違いを紹介!

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ケガをしたときに病院を受診し、病院内で行うリハビリテーションのことをメディカルリハビリテーション(メディカルリハ)、通院の必要がなくなり、スポーツ現場で全体練習に合流する手前(競技復帰)までのリハビリテーションのことをアスレティックリハビリテーション(アスリハ)と言います(図1)。

参考)「捻挫を知る2」足関節捻挫の応急処置とアスリハ(クレーマージャパン)より引用・一部改変
http://www.cramer.co.jp/1511-1/

医師から伝えられる「全治」は、病院に通い、治療に要する期間のことであり、似たような言葉である「完治」は、一般的に日常生活に支障がないレベルまで回復する期間のことを指します。アスリートの「完治」は以前と同じようにプレーできる状態のことを指すため、スポーツ現場において全体練習に参加できるようになるまで、アスリハを行う必要があります。

例えば「軽度の肉離れで全治6週間」と診断された場合、6週間後に必ず競技復帰できるということではありません。6週間の間に、痛んだ筋線維がある程度修復すると見込まれますが、実際にプレーを行う時にはより大きな筋力が必要となるため、関節可動域(関節の動く範囲)を回復させたり、筋力強化を行ったりするアスリハが必要となります。ケガした側のコンディションを受傷前レベルかそれ以上に整えなければ、競技復帰をしたとしても、また同じ部位を痛めてしまうという繰り返しが起こりやすいのですが、こうしたことの原因には完治に向けたアスリハが不十分であることが挙げられます。

アスリハについては本来アスレティックトレーナーが担当するところですが、スポーツ現場にトレーナーがいるチームはそれほど多くないと思いますので、通院時期にメディカルリハを担当する理学療法士の先生にエクササイズを指導してもらうようにするとよいでしょう。競技復帰の目安としては、受傷したプレーと同じ動作を行っても不安なくできること。医療機関で関節可動域や左右の筋力差のチェックを受け、ゴーサインをもらってからプレーを再開することが理想的です。


著者プロフィール

アスレティックトレーナーの西村典子さん
アスレティックトレーナー/西村典子(にしむらのりこ)
東海大学スポーツ教育センター所属、東海大学硬式野球部アスレティックトレーナー。日本体育協会公認アスレティックトレーナー、NSCA-CSCS, NSCA-CPT。学生スポーツを中心としたトレーナー活動を行う一方で、スポーツ傷害予防や応急処置、トレーニングやコンディショニングに関する教育啓蒙活動を行う。また一般を対象としたストレッチ講習会、トレーニング指導、小中学生を対象としたスポーツ教室でのウォームアップやクールダウンといったさまざまな年齢層への活動がある。一般雑誌、専門誌、ネットメディアなどでも取材・執筆活動中。
大阪府富田林市出身。奈良女子大学文学部教育学科体育学専攻卒。
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