ダルビッシュを育てた若生監督が語る「伸びる選手の条件」（前編）

選手の気質の変化を話す指導者は多い。それに合わせて指導方針を変化させるという話もよく聞くが、若生監督の場合はどうなのだろうか。

「今の子に合わせてやり方を変えることはないです。グラウンドではずっと厳しくやってますね。だから選手には嫌われてると思いますよ（笑）。でも嫌われてナンボだと思ってやってますから。何年かたって大人になった時に『ああ、自分のことを思って言ってくれてたんだな』と思い返してくれればいいんですよ。だからプロに行った選手も節目で連絡してきますよ。嶋（重宣・元広島、西武）も引退した時に連絡してきましたし、この前もグラウンドに挨拶に来ましたよ。ダルビッシュもプロに入ってからしばらくは投げる時は必ず連絡をよこしてました。20歳になった時に『もうしてこなくていい』って話したんですけど、何かある時は連絡してきます。選手達には『あの時厳しくやっておいて良かっただろう？』という話はよくしますね」

厳しい指導は昔から変えていないとのことだが、全てを一律にしているわけではない。選手の状態に合わせた指導は行っているそうだ。

「ダルビッシュはずっと成長痛だったので、そんな中でもやる気を維持できるようにということは考えてました。本当に痛そうでしたし、やりたくてもやれないというのも辛いですからね。満足に投げられたのは最後の夏くらいです。だから大会もダルビッシュ一人では絶対に勝ち抜けないと思ってたし、他の選手達もそのつもりでやってましたよ」（取材・撮影：西尾典文）

後編に続きます