ニュース 2018.03.15. 14:04

ダルビッシュを育てた若生監督が語る「伸びる選手の条件」(後編)

卒業後に伸びるための下地を作ることが重要

前編で伸びる選手の条件について『やる気』と話したが、もちろんそれだけで選手を判断しているわけではない。また、選手が伸びるための土壌も当然考えている。

「ピッチャーの場合は大きい方がどうしても有利なんですよ。ボールの角度が違うから。だからお母さんが大きい選手はいいなと思いますね。男の子の場合はお母さんに似ることが多いって言いますから。
あとは身体の柔らかさ。これは骨が柔らかいうちにやらないと難しいんですよ。だからうちは1年生のうちに徹底的に柔軟させますよ。ほとんどの選手が(開脚した状態で)顔が地面につくんじゃないかな。この前、古澤(勝吾・ソフトバンク)と清水(優心・日本ハム)が来た時も『ちょっとやってみろ』って言ってやらせたら、私服のまま一生懸命やってましたよ」

高校野球生活は2年数か月であり、その期間には才能が開花しきらない選手も当然いる。ただ卒業後に伸びるための下地を作ることが重要だと考えている。

「故障しにくい柔らかい身体ができたら、次は野球の技術をつける。そうすれば筋力がついてきたときに一気に良くなりますよ。(身長が)上に伸びきっていないような選手はなかなか筋力がつかない。うちにいるピッチャーも大学行ってから伸びそうだなっていう選手はいますよ。そういう選手は無理はさせませんね」

2015年に埼玉栄の監督に復帰し、チームは徐々に力をつけてきている。特に今年はドラフト上位候補にも挙げられているエースの米倉貫太投手が注目を集めているが、そんな米倉投手にも新チームになってから環境を変えさせたという。

「寮から出して、後援会長の家に下宿させたんですよ。寮にいて上級生になると下級生が何でもしてくれるから、天狗になるわけじゃないけど甘えが出るんですね。自分が大学の時にそうだったの(笑)。1年生、2年生の時は先輩について色々やるんだけど、3年生になると楽をする。だから貫太(米倉)にはちゃんと周りに気を遣えるようにと思って下宿させました。
トレーニングの時間を確保させるために今はまた寮に戻しましたけど、良かったと思いますよ。今も(率先して)マウンドを自分で準備してましたけど、前はそういうことができる子じゃなかったから」

生活面での変化が意識の向上にも繋がり、それがプレーにも好影響を与えると考えたからこそとった措置と言えるだろう。また他の選手達にもそのレベルに合わせて指導を行い、それは野球以外の面にも及んでいる。

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