「肩を強くする」ためには力の伝わり方を理解しよう
ボールを投げる動作を考えてみると、力の伝わり方は足と接地している地面から下半身、体幹をとおって上半身へと伝わっていき、最終的には指先からボールを力強く押し出すことで投げることが出来ます。こうした一連の動作を理解すると、肩はあくまでもこうした力の伝達ルートの通過点ということがわかりますし、肩周辺部のみを集中的にトレーニングしても目に見える変化にはつながりにくいことも理解できると思います(もちろん肩のトレーニングを行うこと自体は大切なことです)。
「肩を強くする」という場合、大きく分けて2つの考え方があります。
1つは「伝わる力そのものを大きくする」場合、もう1つは「伝わる力のロスを少なくする」場合です。
伝わる力そのものを大きくする場合
下半身から体幹を介し、上半身へと伝わる力が大きければ大きいほど、いわゆる「強肩」であると言えるでしょう。大きな力を発揮するためには、まず下半身を中心とした筋力アップを行う必要があります。
ジュニア期の選手であればまずは自重トレーニングで自分の身体をしっかり支えられるだけの筋力を養うようにしましょう。
投球動作は必ず足を地面につけて行うため、その場でのスクワットやランジ動作などで脚筋力を強化し、同時にぶれない体幹をイメージして行います。
伝わる力のロスを少なくする場合
投げる時に伝わる力のロスを最小限にするためには、身体全体のしなりを使って上手に力を伝達させていくことが大切です。どこか一部分でも動きの悪いところがあったり、軸がぶれたりしてしまっては、せっかく地面から下半身へと伝わってきた力がボールにまで届きません。
身体の動きをしなやかに保つためには、股関節や肩関節などの関節可動域(関節の動く範囲)が大きく、筋肉の柔軟性も高い方がより強いボールが投げられることになります。
また同時にぶれない軸をつくるための腹筋・背筋などの体幹トレーニングもあわせて行うようにすることが結果的に「肩の強さ」にも役立ちます。
「肩の強さ」といっても必要となる練習やトレーニングは個人個人によって異なります。
指導者の方や専門家の方と相談しながら自分にあったトレーニングを行うようにしましょう。
著者プロフィール
アスレティックトレーナー/西村典子(にしむらのりこ)
日本体育協会公認アスレティックトレーナー、NSCA-CSCS、 NSCA-CPT。東海大学スポーツ教育センター所属。高校、大学など学生スポーツを中心としたトレーナー活動を行う一方で、スポーツ傷害予防や応急処置、トレーニングやコンディショニングに関する教育啓蒙活動を行う。また一般を対象としたストレッチ講習会、トレーニング指導、小中学生を対象としたスポーツ教室でのウォームアップやクールダウンといったさまざまな年齢層への活動がある。一般雑誌、専門誌、ネットメディアなどでも取材・執筆活動中。
大阪府富田林市出身。奈良女子大学文学部教育学科体育学専攻卒。
日本体育協会公認アスレティックトレーナー、NSCA-CSCS、 NSCA-CPT。東海大学スポーツ教育センター所属。高校、大学など学生スポーツを中心としたトレーナー活動を行う一方で、スポーツ傷害予防や応急処置、トレーニングやコンディショニングに関する教育啓蒙活動を行う。また一般を対象としたストレッチ講習会、トレーニング指導、小中学生を対象としたスポーツ教室でのウォームアップやクールダウンといったさまざまな年齢層への活動がある。一般雑誌、専門誌、ネットメディアなどでも取材・執筆活動中。
大阪府富田林市出身。奈良女子大学文学部教育学科体育学専攻卒。