今回の質問
今回は同じような質問を2つ頂きましたのでご紹介させて頂きます。
「納得いかない指導、練習、起用法、その時親にできることは?」
「バカ」とか「トボけ!」などの暴言で子どもを叱責する監督。そのくせ野球の基礎は教えていないのでレギュラーが未だにアーム投げ、ドアスイング、腰高な守備。試合は案の定、毎回ボロ負け。そして負けたら負けたで「やる気あんのかー!」「ヘタクソー!」と子どもたちをまた暴言で叱責。田舎なので近くにはこのチームしかありません。野球が大好きでせっかく入団した息子も野球が嫌いになりそうです。(40代 男性)
息子が所属する少年野球チームは、守備をメインにするチーム。スローイングや遠投を多く行うせいなのか、これまでに疲労骨折者を3名、野球肘1名を出して来ました。
先日も6回完投(80球程度)させた投手を次の日の練習試合にも登板(95球)させていました。私はヘッドコーチに対して強く批判をしましたが、チームの方針(監督が絶対)だからと、全くこちらの話を聞き入れてもらえませんでした。このまま未来ある子供達が壊れて行くのを、黙って見てられません。(年齢不明)
廣川さんの答え
野球チームには様々な思惑を持った選手が集まります。
「勝ちたい」「楽しくやりたい」「上達したい」「怪我なくやりたい」「試合に出たい」etc...
全てが満たせるに越したことはありませんが、なかなか全てを満たせるチームはありませんし、全てを求めるからストレスが溜まるんだと思います。
例えば、私は中学硬式野球チームで投手コーチをしていますが、変化球はカーブがほとんどでスライダーやスプリットの投げ方はほとんど指導しません。筋力が十分に発達していない時期にこれらの変化球を多投することは故障に繋がりやすいためですが、「勝ちたい」と思っている選手にとっては不満だと思います。
私は「怪我なく競技を継続したい」と思えば、故障に繋がりやすい技術習得を回避し、それが理由でレギュラーになれなくても構わないと割り切ることも重要ではないかと思います。「投げられません」と選手が言えば無理に登板させることもできないでしょう。
そんな選手が増えれば、起用方法が見直される可能性もあると思います。
野球指導者には「精神論偏重」「技術偏重」「戦術偏重」など様々なタイプの方が居ます。
全てそうだとは言いませんが、特定の要素に偏った指導をされる指導者は他の要素に対する知識に疎いケースが多いように思います。だから得意分野に偏重するのだと思います。
「技術を教えてくれない指導者」に不満を言ってもその指導者に技術知識がなければ「ないものねだり」になってしまいます。
「今の指導者から何を学ぶか?」
「今のチームで学べない要素はどこで補填するか?」
といった割り切りも必要なのではないかと思います。
「今のチームでは何も学ぶことがない」という結論に至れば、移籍するしかないと思いますが、ある程度人数が集まっていて長く継続しているチームであれば、何かしら学ぶべき要素はあるものです。
野球の世界は「監督の権限が強いチーム」が多いため、なかなか監督に抗議するのは難しいと思いますし、抗議されると意地になって一層やり方を変えない方も少なくないです。
それでも、どんな形でもチームに所属した方が良いと思います。
「試合に出る」だけでも学ぶことはありますし、それはチームにいないとできないことです。
指導者が罵声しか浴びせないような人であっても、保護者などが「大きな声で指示できたね」「積極的に振って行けたね」「パスボールを見逃さずに進塁できたね」など、選手が頑張ったことをちゃんと評価できる理解者がいれば、選手は成長していけると思います。
「全てを思惑通りに」というのは難しいことが多いので、時には「損して得取れ」という発想も必要なのではないかと思います。
*「ご用件」に「少年野球質問箱」と書いて、廣川さんに教えて欲しい悩みや疑問をお送りください。
【球歴】
えひめ西(現松山)、リトルリーグ、愛媛県立松山北高等学校、甲南大学(阪神大学野球連盟)、リクルート(社会人野球東京支部)
【受賞歴】
■リトルリーグ
-四国大会優勝
■高校野球
-愛媛県中予地区新人戦優勝
-秋季愛媛県大会準優勝(四国大会出場)
-第59回選抜高等学校野球大会出場
■大学野球
-阪神大学野球連盟2部リーグ最優秀投手賞
(→1部昇格)
-阪神大学野球連盟特別賞(3度)
・1試合最多奪三振記録樹立(18個/当時)
・通算最多奪三振記録樹立(351個/当時)
・通算最多登板記録樹立(57試合/当時)
-学生日本代表候補選手選出 など
【野球指導歴】
-学童野球コーチ
-中学硬式野球チームコーチ・監督
-その他高校・社会人野球臨時コーチなど多数。
「勝ちたい」「楽しくやりたい」「上達したい」「怪我なくやりたい」「試合に出たい」etc...
全てが満たせるに越したことはありませんが、なかなか全てを満たせるチームはありませんし、全てを求めるからストレスが溜まるんだと思います。
例えば、私は中学硬式野球チームで投手コーチをしていますが、変化球はカーブがほとんどでスライダーやスプリットの投げ方はほとんど指導しません。筋力が十分に発達していない時期にこれらの変化球を多投することは故障に繋がりやすいためですが、「勝ちたい」と思っている選手にとっては不満だと思います。
私は「怪我なく競技を継続したい」と思えば、故障に繋がりやすい技術習得を回避し、それが理由でレギュラーになれなくても構わないと割り切ることも重要ではないかと思います。「投げられません」と選手が言えば無理に登板させることもできないでしょう。
そんな選手が増えれば、起用方法が見直される可能性もあると思います。
野球指導者には「精神論偏重」「技術偏重」「戦術偏重」など様々なタイプの方が居ます。
全てそうだとは言いませんが、特定の要素に偏った指導をされる指導者は他の要素に対する知識に疎いケースが多いように思います。だから得意分野に偏重するのだと思います。
「技術を教えてくれない指導者」に不満を言ってもその指導者に技術知識がなければ「ないものねだり」になってしまいます。
「今の指導者から何を学ぶか?」
「今のチームで学べない要素はどこで補填するか?」
といった割り切りも必要なのではないかと思います。
「今のチームでは何も学ぶことがない」という結論に至れば、移籍するしかないと思いますが、ある程度人数が集まっていて長く継続しているチームであれば、何かしら学ぶべき要素はあるものです。
野球の世界は「監督の権限が強いチーム」が多いため、なかなか監督に抗議するのは難しいと思いますし、抗議されると意地になって一層やり方を変えない方も少なくないです。
それでも、どんな形でもチームに所属した方が良いと思います。
「試合に出る」だけでも学ぶことはありますし、それはチームにいないとできないことです。
指導者が罵声しか浴びせないような人であっても、保護者などが「大きな声で指示できたね」「積極的に振って行けたね」「パスボールを見逃さずに進塁できたね」など、選手が頑張ったことをちゃんと評価できる理解者がいれば、選手は成長していけると思います。
「全てを思惑通りに」というのは難しいことが多いので、時には「損して得取れ」という発想も必要なのではないかと思います。
*「ご用件」に「少年野球質問箱」と書いて、廣川さんに教えて欲しい悩みや疑問をお送りください。
「廣川さん」プロフィール
廣川寿(ひろかわ ひさし)1969年生まれ。愛媛県出身。全国約7,000人の野球指導者及び保護者から絶大な支持を得ているFacebookページ「少年野球指導者のひとり言」管理人。【球歴】
えひめ西(現松山)、リトルリーグ、愛媛県立松山北高等学校、甲南大学(阪神大学野球連盟)、リクルート(社会人野球東京支部)
【受賞歴】
■リトルリーグ
-四国大会優勝
■高校野球
-愛媛県中予地区新人戦優勝
-秋季愛媛県大会準優勝(四国大会出場)
-第59回選抜高等学校野球大会出場
■大学野球
-阪神大学野球連盟2部リーグ最優秀投手賞
(→1部昇格)
-阪神大学野球連盟特別賞(3度)
・1試合最多奪三振記録樹立(18個/当時)
・通算最多奪三振記録樹立(351個/当時)
・通算最多登板記録樹立(57試合/当時)
-学生日本代表候補選手選出 など
【野球指導歴】
-学童野球コーチ
-中学硬式野球チームコーチ・監督
-その他高校・社会人野球臨時コーチなど多数。