ボール回しの後は上級生チームは実戦形式の練習。下級生チームはバッティングと守備練習を実施。最後にそれが入れ替わってこの日の練習は終了となった。
実戦形式の練習で特徴的だったのが、何人もの選手が投手を務め、またポジションも本来の守備位置ではない選手が多くいたというところ。岡本代表の話では、一人の投手に負担がかからないようになるべく多くの選手が投手ができるように練習しているという。また、自分の普段やっているポジション以外を守ることで新たに気づくこともあるそうだ。子どもの可能性を限定するのではなく、広げるという意味では非常に面白い試みと言えるだろう。
もう一つ練習中で気づいたのが、大人が怒鳴るような場面が一切ないというところ。逆にコーチが子ども達によく声をかけていたのが、『(プレーが)上手くいったらみんなで言ってあげて!』というもの。
クラブの決まりとして「罵声の禁止」というルールを設けているとのことだが、失敗ではなく成功に目を向けるというコーチングの方針が徹底されていると感じた。しかし決して遊んでいるのではなく、子ども達の動きもダラダラしたものではなかった。岡本代表によると「ダラダラ」でも「ピリピリ」でもなく、「ピリ」くらいの雰囲気を目指しているということだったが、それがよく分かる練習の光景だった。
週1回、半日のみの練習というのは少年野球チームでもかなり短いものだが、その内容は非常に狙いの分かりやすいものだった。今後、このような取り組みをするチームが増えてくれば保護者の負担も子どもの負担も減り、野球人口の減少への効果も見込めるのではないだろうか。そんなことを感じる春日学園少年野球クラブの練習だった。
(取材・撮影:西尾典文)