高校球児が保育園児に野球の手ほどき
6月5日、静岡県三島市の県立三島南高校硬式野球部が、市内の梅の実保育園で野球教室を開催した。三島南高校では、4年前から市内の保育園を回って「野球教室」を実施している。稲木恵介監督は語る。
「4年前の12月から始めました。高校野球は練習時間が長いし休日には試合が組まれることが多いんです。選手に息抜きの機会を与えるとともに、自分たちが打ち込んでいる『野球』について考えるうえでも良い機会になると思ったんです」
保育園に到着した選手とマネージャー、総勢37人は、保育園児と対面し、大きな声で「こんにちは!」とあいさつ。
その大きな声だけで、園児からは「わあ」と驚きの声が上がる。
稲木監督が子供たちに話しかける。
「これからお兄さんたちに、いつもやっている通りに、試合前の準備体操やキャッチボール、投球、守備練習をやってもらいます。どんな動きをするか、どんな音がするか、よく見ていてくださいね」
はじめてみる高校球児の迫力ある動きに、子どもたちの目は釘付けになる。ノックでぎりぎりの打球に飛びつく選手に「すごい!」と歓声が上がる。この間、子ども達には硬式球も渡される。その重さ、硬さに触れて「野球」というスポーツを実感する。
「投げる」動作を初めて体験する
選手たちのデモンストレーションの後は、いよいよ体験教室。まずは木製の枠をめがけてテニスボールを投げるピッチング。
プロ野球中継の減少などで、野球そのものに触れる機会が減った今の子供たちの多くは「投げる」という動作が身についていない。
保育園からも「そろそろドッジボールをやる年齢だが、ボールを投げる動作ができない子供が多いので、教えてほしい」という要望もあった。
選手たちは、まず、自分たちでやって見せた後に、跪いて子供たちの目線で、ボールの握り方、投げ方を丁寧に教える。
地面にボールを叩きつける子、的のはるか上に投げてしまう子、最初から的に入れる子。動作を繰り返すうちにだんだん上達する子。
選手は、的にボールが入ると「いいね!-いいね!」と声を出して褒める。
園庭のあちこちで「いいね!」が飛び交うようになる。