今では帰宅して食事、入浴を済ませたあと、寝るまでのほんのわずかな時間が自由時間だ。それでもテレビを見たりゲームをする訳ではなく、前述のようなストレッチなどの体のケアなどに努めている。明日の自分のためにできることなら何でもやる。勉強も含め、常に前を見て行動することが増居のモットーでもある。
センバツ以降、プロのスカウトからも名前が挙がるほど成長を遂げ、全国でもっとも注目される高校生左腕となった。京大志望を早くから掲げ、今後の進路にも密かに注目が集まるが、夢はいたって現実的だ。
「何になりたいというのはないんですけど、そこそこ稼げるように働けたらいいです。そのために、まずは志望大学に合格できれば。(最近、プロのスカウトからの評価も高いという質問をすると)自分はプロになれる器ではないですよ。声を掛けていただいても、今のところ選択肢には入らないと思います」と苦笑い。具体的な目標は大学に入ってから見つけていこうと思っている。
先日、9月に行われるU18日本代表一次候補にも選ばれた。高校入学時に野球を続けるか迷っていた増居が、この秋日の丸を背負って野球ができるかもしれない。一次候補のため、最終選考の18人に絞られたメンバーが確定で、その発表は夏の甲子園後になる。大きな夢が膨らんでいるのかと思いきや、やっぱり増居は冷静だった。
「自分はそんな選手ではないんですけど…(苦笑)でも、(最終選考に)選ばれたら、その時に色々考えていきたいです」。
無限の可能性を秘めた湖国の好左腕は、果たしてどんな道を歩んでいくのだろうか。(取材・撮影:沢井史)