ニュース 2019.07.11. 10:12

【春日学園少年野球クラブ】放射線科の医師である代表がチームを設立した理由とは?

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わずか週1回、半日の練習で活動しながら、着実に結果も残しているという春日学園少年野球クラブ。そんなチームを立ち上げた岡本嘉一代表と、実際に子ども達の指導に当たっている筑波大学大学院の佐治大志コーチに話を聞いた。




▼岡本嘉一代表


■余力を残して少年野球を卒業してもらうことが理想


――チームを立ち上げて6年目ということですが、立ち上げようと思ったきっかけを教えていただけますか
「チームのホームページにも書いてあるのですが、私が放射線科の医師として野球ヒジを診てきたことがきっかけです。骨の状態を見ると痛くてとても普通には投げられないような状態の野球少年が診断に来るケースがよくある。骨の発達していない子どもにこれだけ負担をかけているのは異常だと思います。それで少年野球チームの実態を見てみると、本当に子ども達のことを考えた指導を行っているチームが少ない。親も指導者も目の前の結果だけを気にしている。そう感じたのでチームを立ち上げることにしました」

――筑波大学の大学院の学生にコーチを依頼しているそうですね。
「チーム立ち上げの時から野球部の川村卓監督に相談して、コーチを派遣していただけることになりました。子ども達にとっては専門的な知識が豊富なコーチの指導を受けられることは絶対にプラスになりますし、コーチもせっかく指導するのならノックを打ったりするんだけではなくて、全体を見てもらった方がいいと考えて今のような形にしています。私も監督も内容を聞いたりしますが、メニューは基本的にコーチにお任せしています」

――週1回、半日だけの練習というのも珍しいですね。
「野球をやることに対してまずは子ども、そして保護者の負担を小さくする必要があると考えています。だから試合もなるべく少なくしようとしていて、今は年間で30試合程度です。どうしても練習、試合に終われて土日にガンガンやるとそれに追われて子どもも保護者も疲れてしまう。もっと野球がやりたいなという気持ちを持てないと思うんですよね。うちは週末1/4ルールということを徹底していますが、他の日に各自が練習する分は制限していません。そうやって自分で取り組んだ方が効果も高いと思います。だから子ども達にはチームの練習は発表の場だと思ってやってほしいと言っています」

――試合では「ノーサイン・ノーバント」で行っていると聞きましたが。
「もちろん試合に勝つために練習はしていますが、それよりも大事なのは子ども達の力を伸ばすことです。だから試合でも子ども達が考えてサインを出すようにしています。最初は難しいかなと思っていましたが、どんどん自分たちで考えてサインを出して作戦も考えるようになりました。時折セオリーを無視するようなプレーをして失敗することもありますが、そこから学ぶことの方が大きいと思っています」

――最後に春日学園少年野球クラブが目指すチーム像を教えてください。
「余力を残して少年野球を卒業してもらうということが理想です。子どもの頃から野球漬けになって、身体も精神的にもボロボロになってしまう子が少なくありません。そうではなくて、少ない練習時間で工夫して行い、また他のことにも取り組む余裕を持つ。うちのチームは他のスポーツをやっている子も多いですし、勉強を頑張って中学受験に成功したような子もいます。あとこれからの時代はIQ(Intelligence Quotient)よりもEQ(Emotional Intelligence Quotient)、感情的な部分やコミュニケーションが重視される時代になってきます。スポーツですから競争は当たり前ですが、そこで壁にぶつかってもしっかり立ち直れる身体と心の強い子が育つような環境、指導を目指していきたいと思っています」
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