目指すのは「一貫して打って勝てるチーム」
都筑中央ボーイズの練習グラウンドは横浜市営地下鉄仲町台駅から徒歩20分ほどの場所にある。2002年に開催されたサッカーワールドカップ日韓大会の決勝の舞台、日産スタジアムを望みながら田畑に囲まれたのどかな道を進むと、遠くから甲高い金属音が聞こえてきた。取材したのは6月のとある日曜日。練習開始は9:30と聞いていたため余裕を持って15分前にはグラウンドについたのだが、既に多くの選手たちが鳥かごでバッティング練習を行なっていた。
「この子たちは3年生です。負けて全国大会へ行けなかったので、いまは関東大会の予選に向けて新チームの練習が始まる前にきて練習しています」
そう教えてくれたのは作新学院卒業後、三菱重工横浜で19年間プレーした経歴を持つAチームの塩澤信之ヘッドコーチだ。
「引退後から卒業までの期間が一番伸びる時期」というチーム方針もあり、3年生も新チームの1、2年生たちに主役の座を譲りつつ、高校野球を見据えてしっかりと練習に取り組んでいる。
新チーム(1、2年生)の練習は全員で行う15分ほどのアップからスタート。アップ終了後はAチーム(2年生)はキャッチボールから内野守備練習、Bチーム(1年生)はバッティング練習に別れて行われた。
バッティング練習は連続して行うティーバッティング、下半身の使い方を意識した素振り(30秒振って30秒休むを10セット)、鳥かごでのマシーン打ち、同正面から投げられる緩いボールを打ち返す練習の4つのメニューをローテーションでこなしていく。
中学部のチームを率いるのは日大三高時代に夏の甲子園優勝経験を持つ都築克幸監督。甲子園でのチーム打率は当時歴代1位の4割2分7厘、都築監督自身もトップバッターとして史上2位の大会通算16安打を放つなど活躍した。
「バッティングでは下半身を使って打つことを意識させています。練習でバットを振る量は他のチームに比べてかなり多いと思いますよ」という都築監督。中学部の指導で大切にしていることは「とにかく選手たちがバットを振る力をつけること」だという。強打が自慢の日大三高OBらしく、目指すのは打って勝てるチームだ。
「バットを振る力をつける」ことには、「みんな高校でも野球をやるつもりだし、バントが上手い子よりもバットを振れる子の方が強豪高校から声がかかる確率も高いでしょ?」という、この先を見据えた考えもあるという。