今回の質問・お悩み
「投げる時のグラブ側の手の使い方」
最近少年野球のコーチを始めたのですが、コーチの世代によってグラブ側の手の使い方が違うのかなと感じました。
他のコーチの方々は、グラブ側の手を「強く脇に引く」と指導していましたが、それでは開きが早くなり手投げになってしまうと思います。
実際、子供達の投げ方は開きが早く、手投げの子が多いです。
「体を開くな」と言っているのに、体が開く投げ方を指導するのはどうなのかな?と思っています。
以前、元メジャーリーガーの伊良部投手のインタビューを見ましたが、「胸をグラブ側の手に持っていく意識でグラブ側の手を胸に持っていく」とお話しされていました。
自分でも実践してみたらコントロールが以前より安定しました。
現在の少年野球の現場ではグラブ側の手の使い方はどのように指導されているのでしょうか?
廣川さんの答え
長らく野球指導の現場にいますが、意外と「スローイングの際のグローブの使い方」について細かく丁寧に指導している人をお見かけする機会は少ないです。質問者の方はそこに着眼されているのは素晴らしいと思います。
グローブを引きつけるか、それともグローブに寄るか?
いずれにせよボールをリリースする時にはグローブを胸元に仕舞い込むことが必要となります。
そして私は「仕舞い込み方」がポイントだと思います。「グローブのしまい込み方」が悪ければ引きつけようがよろうが肩の開きが早くなってボールにシュート回転がかかりやすくなります。
今回は投球時の「グローブの仕舞い込み方」について説明したいと思います。
*右投げの場合を想定してお話しします。
下図のように左足を踏み出した後の回転運動の軸を体の中心に置くと、身体を正対させるためには左肩を引かなければ正対できません。当然右肩が出てくるまでに左肩を引くので「開く」という状態になってしまいます。一方で右側のイラストのように左肩の位置に回転軸を置けば、右肩が出てくるまで左肩は「待っている」という状態になるので、いわゆる「開く」は起こりません。これを踏まえて本題に入ります。
【1】腕を外旋させながら
【2】肘を曲げて
【3】左肩の前あたりまでグローブを引き寄せる
くらいで良いと思います。
*「ご用件」に「少年野球質問箱」と書いて、廣川さんに教えて欲しい悩みや疑問をお送りください。
【球歴】
えひめ西(現松山)、リトルリーグ、愛媛県立松山北高等学校、甲南大学(阪神大学野球連盟)、リクルート(社会人野球東京支部)
【受賞歴】
■リトルリーグ
-四国大会優勝
■高校野球
-愛媛県中予地区新人戦優勝
-秋季愛媛県大会準優勝(四国大会出場)
-第59回選抜高等学校野球大会出場
■大学野球
-阪神大学野球連盟2部リーグ最優秀投手賞
(→1部昇格)
-阪神大学野球連盟特別賞(3度)
・1試合最多奪三振記録樹立(18個/当時)
・通算最多奪三振記録樹立(351個/当時)
・通算最多登板記録樹立(57試合/当時)
-学生日本代表候補選手選出 など
【野球指導歴】
-学童野球コーチ
-中学硬式野球チームコーチ・監督
-その他高校・社会人野球臨時コーチなど多数。
グローブを引きつけるか、それともグローブに寄るか?
いずれにせよボールをリリースする時にはグローブを胸元に仕舞い込むことが必要となります。
そして私は「仕舞い込み方」がポイントだと思います。「グローブのしまい込み方」が悪ければ引きつけようがよろうが肩の開きが早くなってボールにシュート回転がかかりやすくなります。
今回は投球時の「グローブの仕舞い込み方」について説明したいと思います。
*右投げの場合を想定してお話しします。
そもそも「肩が開く」とは?
投手に対して「肩が開いている」とか「肩の開きが早い」という指摘をしている方をお見かけしますが、投手はボールをリリースする時には肩を打者に対して正対させます。言わば「開かないと投げられない」のですが、この「開きが早い」というのはタイミングの問題と思われがちです。しかし私はタイミングの問題ではなく、「開き方」の問題だと思います。下図のように左足を踏み出した後の回転運動の軸を体の中心に置くと、身体を正対させるためには左肩を引かなければ正対できません。当然右肩が出てくるまでに左肩を引くので「開く」という状態になってしまいます。一方で右側のイラストのように左肩の位置に回転軸を置けば、右肩が出てくるまで左肩は「待っている」という状態になるので、いわゆる「開く」は起こりません。これを踏まえて本題に入ります。
(図1)
ポイントは「腕の外旋」と「脇を締める」です!
上記のイラストの状態から身体の近くまでグローブを持ってくる時に脇が空いてしまうと横回転が加わって左側のような状態になってしまいます。グローブを引き寄せる時には脇を締めるよう心がけたいです。またできるだけ横回転を抑えるためには左腕を外旋させながらグローブを引き寄せると良いと思います。「グローブを脇の下に抱える」と教える人もいますが、無理に脇の下に入れようとすると左肩を引いてしまうので、【1】腕を外旋させながら
【2】肘を曲げて
【3】左肩の前あたりまでグローブを引き寄せる
くらいで良いと思います。
(図2)
ボールを投げる時、実際にボールを握る利き腕にばかり意識が行ってしまいがちですが、野球はバランスが重要です。ましてや重いグローブを着けているからこそ、グローブに振り回されないよう、グローブの使い方には意識を高めてプレーしてほしいです。*「ご用件」に「少年野球質問箱」と書いて、廣川さんに教えて欲しい悩みや疑問をお送りください。
「廣川さん」プロフィール
廣川寿(ひろかわ ひさし)1969年生まれ。愛媛県出身。全国約7,000人の野球指導者及び保護者から絶大な支持を得ているFacebookページ「少年野球指導者のひとり言」管理人。【球歴】
えひめ西(現松山)、リトルリーグ、愛媛県立松山北高等学校、甲南大学(阪神大学野球連盟)、リクルート(社会人野球東京支部)
【受賞歴】
■リトルリーグ
-四国大会優勝
■高校野球
-愛媛県中予地区新人戦優勝
-秋季愛媛県大会準優勝(四国大会出場)
-第59回選抜高等学校野球大会出場
■大学野球
-阪神大学野球連盟2部リーグ最優秀投手賞
(→1部昇格)
-阪神大学野球連盟特別賞(3度)
・1試合最多奪三振記録樹立(18個/当時)
・通算最多奪三振記録樹立(351個/当時)
・通算最多登板記録樹立(57試合/当時)
-学生日本代表候補選手選出 など
【野球指導歴】
-学童野球コーチ
-中学硬式野球チームコーチ・監督
-その他高校・社会人野球臨時コーチなど多数。