ニュース 2018.08.13. 17:46

【少年野球2.0】軟式少年野球「小部東アローズ」はなぜ元気なのか?チーム運営の秘訣を聞いてみた(後編)

子どもを酷使しなくても、試合に勝てる方法はあるはず


もう一つ、小部東アローズは「勝利至上主義」も排除している。

「10年ほど前、野球肘の検診をするところを見学に行きました。また全日本野球協会が千葉の幕張で行っているベースボールクリニックにも参加して、少年野球の肘の負担が注目されていることを知りました。そこで6年ほど前からうちでも肘の検診をすることにしました。
うちでも野球肘になっている子がたくさんいました。
直接の原因は、練習や試合ですが、その背景には、日ごろ遊びの中で体を動かすことをしていない今の子供の生活がありました。学校から帰れば塾、家ではゲーム。外で遊ばない。肩より上に腕を上げる動作をふだんやっていないのに、土日だけチームに来て、コーチがその危険性もわからずに投げさせて肘を痛めるというパターンでした。エースの子は肘が痛くても大人に言いませんでした。
コーチが『根性出して投げろ』と言う。子どもはそれに応えようとする。最近は練習試合も公式戦も多くなっているので、壊れる可能性は昔よりはるかに高いんですね。


以後、チームでも子供たちをメンテナンスするとともに、年に1回は、検診に連れて行くことにしました。
そして子供の肘の危険性を知ったうえで試合での起用方法や練習方法も見直しました。
うちでは今、4人くらい投手を作っています。7イニングの試合で4人くらい投げさせることもあります。エースはいますが、その子だけ集中して投げさせることはしていません。
捕手も肘の負担が大きいので、2人くらい作っています。


子供の体のことを考えたら、何が何でも勝ちに行くなんてできません。
それに練習や試合で子どもを酷使しなくても、試合に勝てる方法はあるはずです。そういうやり方をすれば、子供は故障しません。矛盾しているようですが、そういう方法論があるのではないかと思っています。

昔は『負けたら指導者のせい、勝ったら子供のおかげ』ときれいごと言っていましたが、今は『勝っても負けても子供のせい』だと思っています。
それは子供に責任を押し付けるという意味ではなく、指導者が野球をやっているのではなく、子供が野球をやっている。主役は子供だ、そのことを尊重したいということです。
そういう方針にしてから、応募者が増えました。また、他のチームから移籍してくる子も増えました。
この方針にして6年がたって、最初の頃の子供たちは高校生になっていますが、故障でリタイアした子はいません。甲子園に出た子も3人出来ました」

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