当たり前のことがきちっとできるように
7月末に京都ポニー球団の取材に行ったが、あいにくこのときは台風が接近していて、練習は中止。京都市内に集まった選手たちは、高校生の先輩の指導を受けながら勉強をしていた。「今どき、野球ばっかりしていても、世の中には通用しません。勉強をさせるのも練習のうちでしょう」
監督の今村充さんは語る。
「私の役割は野球の指導ですが、それだけではないと思います。野球でご飯を食べていけるのはほんの一握りです。自分が大人になり、結婚して、家庭を持つときに少しでも役立つように、と思って接しています。
野球では『当たり前のことがきちっとできる』ようにしたい。全力疾走やバットを思い切る振ることなど、基本を大事にしています。
選手と指導者は対等の関係だと思っています。私も選手に対して要望を出しますし、選手からも指導者側にこうしてほしいなどの意見も上がってきます。昔ながらのトップダウンはやめています。
選手から学ぶことも多いんです。選手が話しやすい環境を作って、悩みごとの相談にも乗っています」
風通しが良いポニーリーグ
今村監督は京都ポニー球団会長、関西連盟連盟長の本田達弥さんと高校の同級生。もとは別の団体の少年野球チームの監督をしていたが、6年前にポニーリーグに加盟した。
「ポニーリーグは、現場の意見をよく聞いてもらえます。監督会という組織があって、そこで決めごとをしていくのですが、ここでは現場の意見も参考にしていただけます。ディスカッションの場として貴重ですね。
それから他のリーグよりも金銭面の負担が安いのも大きいですね。大会ごとにチームに対して助成金が出るので、各選手の負担が軽くなります。
保護者にはお茶当番などの当番制はありません。”この日に来なさい”とも言いません。でも、ほったらかしではなくて、2か月に1回くらいは子供の姿を見てあげてください、とは言っています。
マイクロバスの運転もすべて指導者が行います。過去の経験で、移動のバスの中ではいじめなど、子供たちのトラブルがいろいろ起こることを知っているんです。指導者がそこにいれば、そういう状況が把握できますし、酷くならないうちに防ぐこともできます。
それに、バスに乗ってきたときの表情とか、体の様子とか見て”体調悪いのかな”とかわかります。”家で問題あったのかな”、”親と喧嘩したのかな”とか、声をかけることでいろいろ把握できるんですね。そういう部分も含めて、いい環境でやらせてあげたいと思っています」