新チーム結成後は打撃フォームを少しずつ変えながら、打球の伸びをチェック。硬球への対応力は「少しずつ上がってきた」と本人は話すが、長打力や打率など自分が納得する域にはまだまだ達していないという。「いずれはホームランや逆方向に低い打球を打てる打者が目標です」。理想は山田哲人(ヤクルト)のような、長打だけでなく鋭く野手の間を抜く打球も飛ばせる強打者だ。
この秋の石川大会では準決勝の鵬学園戦で高校入学後公式戦初のスタメンマスクも被った。しかも、ほとんど練習をせずに、ぶっつけ本番だったという。だが、先発の荻原、2番手の寺沢を好リードした。「(練習はしていなくても)勘がすぐに戻ってきたので何とかこなせました。今年はショートとして試合に出ると思いますが、将来のことを考えるとキャッチャーもありかなと思います」。“投手と野手”ではなく“捕手と野手”の二刀流ぶりを今後も発揮していけるのか、可能性は膨らむ。
星稜中までは軟式に所属していたが、高校から硬式に。慣れるのには苦労も多かった。
「軟式と違って硬式はボールの跳ね方が違うし、ゴロへの入り方もまったく変わるので、入学直後は苦労しました」。ボールの伸びや重さの違いに、正確に送球するまでも時間がかかった。打球への入り方に戸惑いトンネルすることも多かったが、とにかく土の上でノックを受け続け、跳ね方や打球の質などを肌に染み込ませた。慣れるには約1カ月を要したが、県大会が本格化する5月頃にようやく送球が落ち着いてきた。ただ、前チームの4番で三塁手の南保良太郎(3年)は「入学した時からノック(での守備)がうまくて、3年になってからやっとできることを1年の春の段階でほぼこなしていた」と内山の軽快な動きに一目置く。身のこなしの早さや吸収力の良さはチーム内で群を抜いているが、言葉の節々に謙虚さもあり人間性の高さもうかがえる。
「硬式と軟式。確かに違いはありますが、かと言って自分のスタイルを変える必要はないと思います。自分の力強さを磨いていけば高校でもやっていけます」。
軟式の星から名門・星稜の星へ—。ステージに立つごとに、内山の存在感は増し続けている。(取材・写真:沢井史)