野球をしている子どもを持つ親が気になるのは、やはりどうやったら上達するかというポイントではないだろうか。そのあたりを再び宇野さんに聞いてみた。
――三兄弟ともこれだけ順調に上達したわけですけど、何か秘訣があるとすればどのあたりになるでしょうか?
宇野さん「明確にこうしたから良かったということは正直分かりません。ただゴールデンエイジ(※)と言われる時期に、何かしらの経験をしたことが良かったのかなと思っています。水泳だったり体操だったり、またサッカーもやっていたり。
あとは長男がボールを怖がったこともあって、どうやったら怖がらずに受けられるのかなということを考えるようになりました。そうやって小さな成功体験を積み重ねていって、本人たちがやる気になって自分から取り組むようになったことは大きいかもしれませんね」
※ゴールデンエイジ:神経が著しく発達する時期で、一般的には10歳前後の数年間と言われている。
――子供の頃からこれだけ順調に成長していると将来も楽しみだと思いますが、宇野さん自身も期待している部分は大きいですか?
宇野さん「よく言われますけど、将来のことはまだまだ分かりません。12歳の時に上手だったからと言っても、中学、高校、大学でどんどん上手くなる子もたくさんいます。プロに行ければそれは嬉しいことですけど、そのためだけに野球をやっているのではありません。
侍ジャパンについてもまずそういう機会があって、それに向かってチャレンジしたことが大事だと思いますし、親としてはそういう機会を子どもに与えられたことが良かったと思っています。当然チームではエースで4番みたいな子の集まりですから、その中で試合に出られない経験もする。そうするとそういう子の気持ちも分かるようになる。そういうことが大事だと思いますね」
――将来お子さんがこうなって欲しいという願望はありますか?
宇野さん「さっきもお話ししたように子どもの間は親が機会を与えると思いますけど、大人になったら自分でそういうチャレンジする機会を作って、乗り越える力を身につけてほしいですね。リクルートでよく言われている『自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ』じゃないですけど、それは重要なことだと思います。そのためには心や仲間が大事ですし、そのために野球があると考えています。
自分は大人になってからも野球と携わってきましたけど、子どもたちも野球が好きなら続ければいいし、それ以上に打ち込めることがあればそれでいいと思っています。あと子ども接する中で気を付けているのはスクールウォーズに出てくる『信じ、待ち、許す』ということもありますね。子どもですから足らない部分があって当然です。そんな時にあれこれ言いたくなるんですけど、もう少し信じて待ってみようと夫婦で言い合うこともよくありますね」