鍛えて防ごう野球肘!
野球肘という一つのケガを指すのではなく、ケガの病態もさまざまですが、その原因の大半を占めるのが投げすぎによるものです。
痛みが出る部位としては肘の内側と外側が多く、投球動作ではボールをリリースする瞬間に肘の内側には引っ張る力が働き、肘の外側には上腕骨と橈骨がぶつかる圧迫力が働くことによって痛みを感じるようになります。
野球肘のセルフチェックとしては、自分で肘の内側や外側を押してみて痛み(圧痛)があるかどうかをチェックします。
疲労によるものか、炎症によるものかの判断がつかない場合は、
●いつもと比べて痛みが強いか弱いか
●練習前と練習後で痛みに変化があるか
●患部を氷などで冷やして(RICE処置)痛みが軽減するかどうか
●肘の曲げ伸ばしがスムーズにできるかどうか
を確認しましょう。
違和感や痛みが強くなる場合は早めに医療機関を受診し、医師の診察を受けるようにしましょう。
「我慢できる程度の痛み」だからといってプレーを続けていると、やがて肘の剥離(はくり)骨折や靭帯損傷など大きなケガにつながる場合があります。
野球肘のトレーニングはケガの状態によって変わりますので、必ず専門家の指導の下に行うようにしましょう。
今回は肘の内側に軽度の痛みがある場合に、前腕部を鍛えるトレーニングを紹介します。
トレーニング前には前腕部をしっかりとストレッチして筋肉の柔軟性を高め、その上でトレーニングを行います。
トレーニングを行う時に肘に痛みがあるようであればムリに行わないようにしましょう。
《リストカール》
手のひらを上にしてダンベルを持ち、手首を手前に丸めるようにして前腕部(肘の内側)を鍛えます。
ペットボトルやチューブなどを使っても構いません。
負荷は軽いものから始めて少しずつ重くしていきます(目安1kg〜で20回×2〜3セット)。
《リストエクステンション》
手の甲を上に向けた状態でダンベルを握り、手首を反らせるように手前にひいて前腕部(肘の外側)を鍛えます。
負荷や回数はリストカールと同じ。
著者プロフィール
アスレティックトレーナー/西村典子(にしむらのりこ)
日本体育協会公認アスレティックトレーナー、NSCA-CSCS、 NSCA-CPT。東海大学スポーツ教育センター所属。高校、大学など学生スポーツを中心としたトレーナー活動を行う一方で、スポーツ傷害予防や応急処置、トレーニングやコンディショニングに関する教育啓蒙活動を行う。また一般を対象としたストレッチ講習会、トレーニング指導、小中学生を対象としたスポーツ教室でのウォームアップやクールダウンといったさまざまな年齢層への活動がある。一般雑誌、専門誌、ネットメディアなどでも取材・執筆活動中。
大阪府富田林市出身。奈良女子大学文学部教育学科体育学専攻卒。