今夏の北大阪大会の初戦の摂津戦では先発し、6回まで無失点だったが7回に3点を失って降板。激戦となった準決勝の大阪桐蔭戦では2番手でマウンドに立ったが、一死も取れず0/2回のみ投げてマウンドを降りた。実は今夏、フォームを見失い投げることすらままならなかったのだ。
「夏はストライクを取るのがやっとという感じでした。それでも大阪桐蔭戦はいつでもいける準備をしていて、ピンチでの登板だったのに何もできないままでした。自分がもっと長いイニングを投げていたら、(3番手に投げた)位田さんが最後の9回だけを投げて(先発し、9回に再登板した)浜内さんに負担がかからなかった。あの試合も自分のせいで負けたようなものです。技術はもちろん、自分の持ち味である向かっていく姿勢が薄れていたというか。結果を気にしすぎて、ピンチになると反対に弱気になってしまっていました」。
気がつけば、入学前に先輩たちが当たり前のように立ってきた甲子園に1度も縁がないまま新チームを迎えた。
「自分たちの代から甲子園を知らない世代。このままで終わりたくない」。
もどかしさを抱える中、夏休みに社会人チームのJR東海に武者修行に行く機会があった。そこでJR東海の指導者からフォームを見直してもらうと新たな発見があった。「ステップ位置をホームに向けてまっすぐにしたら、体重移動がスムーズになったんです。リリースポイントも前に出てくるようになって、ボールが出やすくなりました」。
カットボールを覚えたことで、ピッチングの幅も広がった。
「この秋は140キロくらい出ればいいかなと思っていたのでビックリでした」。福知山成美戦はストレート、カットボールのコンビネーションが絶妙で、何より近畿大会の初戦、準々決勝の2試合とも無四球で投げ切ったことが収穫だった。自分の代になって自分が引っ張らないといけないという責任感も増し、自信を持ってマウンドに立つ姿が印象的だった。
だが、最後に残した“爪痕”が清水の気持ちを奮い立たせる。「相手のイケイケモードの中で自分のピッチングができなかった」と振り返る近畿大会の準決勝の龍谷大平安戦。4点ビハインドの4回から登板したものの、5回に四球の走者を置いて2ランを浴び、7回には押し出し四球でコールド敗退という屈辱を味わった。
「1番を背負わせてもらっている以上は、自分のちょっとしたスキが試合を左右してしまうことも学びま
した。あの時は本当に悔しかったです。この秋に負けて良かったという言い方はおかしいかもしれませんが、あの負けを発奮材料にしていかないといけないです」。
憧れの左腕の背中はまだずっと先にある。でも、苦しみの中を走り続けてきた高校野球の中に少しだけ光は差してきた。回り道をしてきた訳ではないが、これまでの苦労は決して無駄にしないつもりでいる。
「この冬はストレートをもっと磨いて、全体の球質も見直していきたいです。不利なカウントでも簡単にフォアボールを出さないとか、どんな状況でも自分のピッチングができるようにしたいです」。
目標は誰にでも認められるエース。大先輩のように、大きな存在感を示すことができる左腕に—。そのために長い冬を乗り切る覚悟はもうできている。(取材・写真:沢井史)
「夏はストライクを取るのがやっとという感じでした。それでも大阪桐蔭戦はいつでもいける準備をしていて、ピンチでの登板だったのに何もできないままでした。自分がもっと長いイニングを投げていたら、(3番手に投げた)位田さんが最後の9回だけを投げて(先発し、9回に再登板した)浜内さんに負担がかからなかった。あの試合も自分のせいで負けたようなものです。技術はもちろん、自分の持ち味である向かっていく姿勢が薄れていたというか。結果を気にしすぎて、ピンチになると反対に弱気になってしまっていました」。
気がつけば、入学前に先輩たちが当たり前のように立ってきた甲子園に1度も縁がないまま新チームを迎えた。
「自分たちの代から甲子園を知らない世代。このままで終わりたくない」。
社会人野球への武者修行で新たな発見
もどかしさを抱える中、夏休みに社会人チームのJR東海に武者修行に行く機会があった。そこでJR東海の指導者からフォームを見直してもらうと新たな発見があった。「ステップ位置をホームに向けてまっすぐにしたら、体重移動がスムーズになったんです。リリースポイントも前に出てくるようになって、ボールが出やすくなりました」。
カットボールを覚えたことで、ピッチングの幅も広がった。
「この秋は140キロくらい出ればいいかなと思っていたのでビックリでした」。福知山成美戦はストレート、カットボールのコンビネーションが絶妙で、何より近畿大会の初戦、準々決勝の2試合とも無四球で投げ切ったことが収穫だった。自分の代になって自分が引っ張らないといけないという責任感も増し、自信を持ってマウンドに立つ姿が印象的だった。
だが、最後に残した“爪痕”が清水の気持ちを奮い立たせる。「相手のイケイケモードの中で自分のピッチングができなかった」と振り返る近畿大会の準決勝の龍谷大平安戦。4点ビハインドの4回から登板したものの、5回に四球の走者を置いて2ランを浴び、7回には押し出し四球でコールド敗退という屈辱を味わった。
「1番を背負わせてもらっている以上は、自分のちょっとしたスキが試合を左右してしまうことも学びま
した。あの時は本当に悔しかったです。この秋に負けて良かったという言い方はおかしいかもしれませんが、あの負けを発奮材料にしていかないといけないです」。
憧れの左腕の背中はまだずっと先にある。でも、苦しみの中を走り続けてきた高校野球の中に少しだけ光は差してきた。回り道をしてきた訳ではないが、これまでの苦労は決して無駄にしないつもりでいる。
「この冬はストレートをもっと磨いて、全体の球質も見直していきたいです。不利なカウントでも簡単にフォアボールを出さないとか、どんな状況でも自分のピッチングができるようにしたいです」。
目標は誰にでも認められるエース。大先輩のように、大きな存在感を示すことができる左腕に—。そのために長い冬を乗り切る覚悟はもうできている。(取材・写真:沢井史)