中学時代は自立するための準備期間
――これまで西村晴樹監督が多くの中学生を見てきたなかで、高校で活躍する選手の共通点はありますか。西村 まず、ひとつ言っているのは、「高校に行ったら、高校の監督の色に染まりなさい」ということです。極端なことを言えば、「中学のときにこういう教えを受けたから」という考えは捨てる。高校にはそれぞれの指導者の色があるので、その色に染まったほうが活躍しやすいと思います。
――それは興味深い考えですね。
西村 あとは、やっぱり自立できている選手ですね。自分で段取りを考えて、実行できるかどうか。失敗を恐れずに、積極的にチャレンジできる選手ほど、自立しやすいと感じています。中学時代は、高校で自立をするための準備期間だと位置付けています。だから、ある程度は、指導者からの強制が必要な時期ではないでしょうか。
――中学生を指導するうえで心がけていることはありますか。
西村 「構う」ということです。放ったらかしにしないで、選手との距離を縮めて、とにかく構うようにしています。チームを作るにおいては、学年を超えたタテのつながりを重視していて、駿台学園中では「家族制度」を取り入れています。
――あまり耳にしない制度ですね。
西村 5~6人をひとつの家族(1グループ)にして、最上級生が家長の立場、つまりはお父さんの役目を担います。その下に子どもたちがいて、何か聞きたいことや確認したいことがあれば、お父さんに聞く。グループの責任はお父さんにあって、たとえば、翌日に持ってくるものがあれば、お父さんが子どもたちに「明日は忘れものがないように」と念を入れて確認をします。
――3年生が下級生を構うようなシステムができているわけですね。