他競技から学ぶ姿勢が新たな道を切り開く
高校時代は神奈川県の名門・桐蔭学園でプレーし、その後大学野球、社会人野球で活躍した宇野誠一さん。現役を退いた後は、豊富なキャリアを活かし、指導者として多くの野球少年たちを育て、現在は千葉県の強豪『市川リトルシニア』で監督を務めています。長年ジュニアの指導に携わる中で、現代の子どもたちについて開口一番こう話します。
「長い間野球を指導していますが、子どもたちの走るレベルというのが年々下がっていると感じています。昔は野球部やクラブチームに所属する子どもたちの9割以上が、学校の運動会ではリレーの選手でした。でも、今はリレーに選出される子どもが半分いるかいないか…。野球の技術は高いのですが、基本的な走り方や体の使い方ができていないのではないかと悩んでいました」
そこで子どもたちを変える良いきっかけになると思い、今年1月にサッカーのトレーナーである谷真一郎さんが開発した 『タニラダ―』を使った講習会をチームで受講。小学生、中学生といったジュニア層に効果的なトレーニングと全国的に知られ、他競技ながらその評判の良さは宇野さんの耳にも届いていたのです。
「サッカーは野球に比べ、360度どこにでも素早く動かないといけないスポーツです。走ることや、動き出しの一歩目について野球より深く研究されているはず。講習会を受けることで、タニラダーの効果とともに、他競技から多くのことを学びたいとも思いました」
どこか閉鎖的な空気がある野球界。しかし、より良いモノを吸収したい宇野さんの積極的な姿勢が新たな道を切り開くことになりました。
子どもの運動センスを磨くために必要なアイテム
講習会ではタニラダーを使い、基本的なランニングフォームや、足が速くなるために必要な地面反力を効率よく受ける『パワーポジションの習得』など、さまざまことを学んだといいます。その後、チームでは練習の一環としてタニラダーを取り入れ、オフ期にも約15分程度の時間を割き、トレーニングを継続して実施。その効果といえるのか、今夏は中学野球ナンバーワンを決めるジャイアンツカップの千葉予選で準優勝を果たすなど、好成績を残すことができました。
谷さんと親交を深めた宇野さんは、さらに野球に生かせるよう改良した 『タニラダー for BASEBALL』の開発で監修を務め、これまで蓄えてきた知識を存分に活用していきます。
「従来のラダートレーニングであるような直線的に走るだけではなく、横向きに使えば守備の切り返しなど、下半身の効率的な動かし方を身につけられるのが、これまでのラダーにはない良い点です。例えば守備の構えでも、一般的に内野と外野では足幅が違います。私が指導をする中学生年代は特に身長差が激しい。140㎝の子もいれば、170㎝の子もいます。当然ですが足幅は大きく違いますので、マス目の大きさを2マスずつ変えることで、より多くの子どもたちに対応できるようになっています」
改良を重ねる中で、マス目を変えることはゴロ捕球の足さばき(大きなマス目から小さなマス目にステップする動き)を自然と覚えられるなど新たな発見もあったと言います。このように野球の専門的な動きと、スポーツに必要な体の正しい動き両方を鍛えることができるアイテムになりました。
多くの野球少年を育て、現代の子どもたちの課題をリアルタイムで体験している宇野さんだからこそ、根本的な運動神経や、運動センスの必要性を感じています。他競技から学ぶ姿勢が良い結果に繋がったように、新しいトレーニングが子どもの才能を一気に開花される一つのきっかけになるかもしれません。
タニラダー講習会の様子
機能性・効率性を追求した野球専用トレーニングキット
『タニラダー for BASEBALL』
(トレーニング用ラダー+解説DVD)
考案者:谷 真一郎
筑波大学在学中に日本代表に招集され、柏レイソルで1995年までプレー。引退後は筑波大学大学院にてコーチ学を専攻し、その後、20年に渡りJリーグのクラブでフィジカルコーチを務める。800試合以上の指導経験を持ち、2012年にはJ2で24戦無敗のJリーグ記録に貢献。『日本で唯一の代表キャップを持つフィジカルコーチ』
監修:宇野 誠一
桐蔭学園高校→獨協大と内野手、捕手としてプレー。社会人野球ではリクルート、ローソン、フェデックスに所属。コーチ、監督経験も含め通算15年の社会人野球指導歴を持つ。その後学童野球で6年間指導者として小学生を指導、次男、三男を侍JAPANアンダー12代表(2014,18)に育てた。
現在は中学硬式チームの監督を務め,ジュニアの育成期の野球指導に深く携わる。