今の野球界の問題点
前述したように立花さんと言えば第一線で長く活躍されてきたアスレティックトレーナーである。しかし今回の講演のテーマは『子どものやる気を最大限に引き出すコーチング』というもの。その内容は、今の野球界の問題点からスタートした。
「ある県のスポーツ少年団の方に聞いたところ、今一番部員が多いのはサッカー、次がバスケットボールで野球はその次だそうです。そして野球のイメージを若い人に聞くと『怖い』という回答だと言うんですね。これは間違いなく指導者の高圧的な態度に原因があると思います。何かにつけて根性で片づけることが多い。でも苦しい時に頑張れるか、乗り越えられるかというのはどれだけ野球が好きかで決まります。そのためにも子どもの時にいかに野球を好きになるかというのは極めて重要で、ここにいる指導者の皆さんはそれを担っていると思ってください」
また、野球に限らずスポーツの現場で繰り返される暴力についても触れた。
「最近でも指導者が選手に暴力を振るっている映像が流れて問題になりましたが、日本はそもそも法治国家で、体罰というのは暴行であって法的に認められたものではありません。もし街中で暴力を見かけたら普通は止めるはずです。それがグラウンドや体育館の中では誰も止めないというのは周囲もおかしいですよね。ただ今の現場ではまだまだそれが当たり前になっている。体罰というのは指導者にとって嫌なことを暴力で片づけているだけです。また暴力は連鎖します。暴力を使った指導を受けた選手が指導者になると暴力を繰り返すことが多いです」