自分でトレーニング方法を開発
菊池投手は練習メニューやトレーニング方法を自分で編み出している。「自信を持って勉強したといえる」と振り返っているが、あらゆるトレーニング法を実際に試してみて、体に合ったトレーニングメニューを自分自身で作っていった。
春季キャンプでも菊池投手はチームのトレーニングではなく、自分で考えたトレーニングを行ってきた。「納得しないと動かない」菊池選手は、自らの体づくりには特に頑固だったのだ。
この点、DeNAの筒香嘉智選手も同じだ。筒香選手もコーチに言われたことをそのままやるのではなく、自分で納得したエクササイズや練習を行っていた。
興味深いのは、筒香選手が否定している「ウェイトトレーニング」を菊池選手が高校時代から行っていること。
練習法は、野球選手共通ではなく、選手の体質やプレーの内容によって変わるのだ。それを取捨選択するのは、最終的にはコーチ、指導者ではなく、選手自身なのだ。
イチロー選手もトレーニング法を自分で考案しているが「自分の考えで、自分自身を鍛え上げる」ことができるのが、一流選手の条件と言えるのではないか。
メジャー入団へのカウントダウン
2017年からは2019年の「メジャー入団」を目標に、カウントダウンの形で日記をつけるようになる。
■今日の感謝
■メジャーへ近づけた一日だったか
■今日をもう一度やり直せるとしたら何をするか?何をしないか?
という3つの項目で毎日、自分自身を見直した。
そして一歩一歩、目標に近づき、高校時代に「マンダラチャート」を書いてから10年で、メジャーのマウンドに立った。
奇しくもイチロー選手の引退試合となった東京ドームでの開幕戦で、菊池投手は先発のマウンドに立ち、4.2回を投げて自責点1。勝ち星はつかなかったが、今後に期待を持たせる登板だった。
この本は、小学生には少し早いかもしれないが、高校に進む前の野球少年に読ませたい。一流の野球選手になるには、何が必要なのか。体力、体格や運動神経も大事だが、それよりも「自分の意志を貫くこと」「人に言われるのではなく、自分で考え、行動すること」そして「夢をあきらめないこと」が大事であると教えてくれる。
荒々しい手書きの文字を読むうちに、野球少年たちはやる気、勇気が湧き出てくるのではないか。(広尾晃)