小間監督のスタイルの最大の特徴は「平等に育てる」。全員で、優先すべきことにコツコツと取り組む。決して無理はさせない。中学生はあくまで高校の準備段階にいるのであって、通過点の段階ですべてを発揮させてはいけないというスタンスだ。「選手を固定して使うやり方は、中学生の段階でやるべきではない。だから今の子供たちには『高校3年になってレギュラーをとれよ』と言っています。高1でレギュラーをとらなくていいし、とろうともするなと。どんなに技術に長けていても、高校1年生と3年生では体力的にも全然違いますよね。1年からレギュラーをとるために必死になればなるほど、無理が生じるわけです。
高校の監督はボーイズ出身というだけで使いたがるものです。ただ、通過点にいる間は焦る必要はありません。トータルで自分の野球人生を考えればいいのです。試合に出たい気持ちはよくわかるし、大会が近くなると子供たちは『痛くないです』と言いますよ。だからキャッチボールを注意深く見て、異変があればすぐに対応しないと」
また、守備位置を固定せずに複数ポジションでの練習を続けることにも意味はある。専門外のポジションを経験することで、ポジションごとの痛みや苦しみがわかる。そこを理解できれば味方がエラーをした時も『今のは仕方ないね』と自然とカバーできるようになる。そうやっていくうちにチーム力が上がり、勝利に繋がることも少なくない。
昨シーズンに3年連続の全国出場を逃したことで、小間監督がもっとも痛感したのはまさにそのことだった。(取材/写真:加来慶祐)