高校球児が考えた「野球が楽しくなるルール」
どうやったら子どもたちが楽しく野球遊びができるのか。この取り組みには、大人が考える発想ではなく、子どもの目線に立ったアイディアが必要です。そこで、県内最多の春夏甲子園41度出場を誇る東北高校の選手に「ティーボールを楽しむためのアイディア」を聞いてみたところ、いろいろな意見が出てきました。
橋本大輝選手(学生コーチ・2年)のアイディア
「子どもはもともと、広い場所を走ったり、ボールを思いきり打つことが大好き。でもボールを投げることが最初は難しいんです。スローイングのかわりに、ボールを持ったままタッチしてもいいなど、アウトの取り方を緩くしてあげたらいいと思います」
和氣隆成選手(内野手・2年)のアイディア
「自分が初めて野球をやったときは、バットにボールが当たらなくて悔しかったんです。当たらないと、急につまらなくなるので、何回でも空振りしていいというルールにして、子どもたちには、ボールを打つ楽しさを当たるまで味合わせてあければいいと思います」
内海創太選手(外野手・2年)のアイディア
「楽しいと思うことも大事ですが、野球を始めたころって『できなくて悔しい』で始まって、『できるようになりたい』と思うほうへ気持ちが向くことも多いと思います。特に男子の場合は。負けず嫌いな気持ちも残してあげることも大切だと思います」
3選手とも「初めて野球をやったときの気持ち」を思い出し、子どもの気持ちを想像しながら真剣に考えてくれました。大人が決めたルールに合わせさせるのではなく、まずは子どものやりたいようにプレーさせることが、一方通行にならない普及振興の大事な要素です。
普及振興の道はゴールがなく、簡単ではありません。松本理事長は「こういった取り組みを、県4地区の先生が考え、行動しているところが宮城の力だと思います」と自信をもって話します。そして「現場のアイディアが普及振興の1番のヒントになる。地方から案や情熱を発信していけば、未来の高校野球はよくなっていくと思う」と力説しました。石巻工監督として、2012年に21世紀枠でセンバツ出場したくさんの勇気をもらった松本理事長。「野球への恩返し」という言葉を胸に刻み、宮城県全体で「未来の野球少年たち」を応援し続けます。(取材・写真:樫本ゆき)