陰でものすごく努力していた森友哉
入学を志す選手の多くは、大阪桐蔭で培ってきた田中監督の教えを受けたいという子たちだが、昨年からは田中監督の大阪桐蔭での同級生の古川卓コーチと、田中監督の大阪桐蔭時代の教え子で、12年の大阪桐蔭の春夏連覇メンバーの白水健太コーチが加入した。
白水コーチはエースの藤浪晋太郎(現阪神)や女房役の森友哉(現西武)らとプレーしていた。今の高校生は、当時は小学生だったため、テレビを通してその戦いぶりを見ながら憧れた選手の生の話を聞けるとなると、白水コーチに興味深く聞いてくる選手が多いという。
「一番よく聞かれるのは藤浪より森のことですかね。どんな練習をしているのかとか、普段のこととか。森はああ見えて陰ではものすごく努力していたので、こういう時はこんなことをしていたよとか、よく話します。生徒が聞きに来たことに具体的に答えてあげると目標設定がしやすいみたいです。ウチのチームは貪欲な子が多いので、本当によく聞きにきますね」と白水コーチ。
白水コーチは大阪桐蔭時代は副キャプテンで、同志社大ではキャプテンを務めていた。プレーヤーとして派手さはなかったが、要所で大きな声を出してベンチを盛り上げるなどチームを鼓舞する重要な役目となっていた。指導者となった今は、田中監督と選手を繋げるだけでなく、選手たちの良きアドバイザーとなっている。
チームとしては近年、夏の県大会では2年連続で大敗しているだけに、今年こそはという思いは強い。
「チームを挙げて日本一という目標は常にあります。勝ちたいとは思ってきましたが、選手の間でも日本一という言葉が飛び交うようになってきて、日本一を意識できるチームにはなってきたと思います。厳しい戦いは続きますが、この夏こそはまずは県を勝ち抜いて甲子園に行きたいです」。
激戦地大阪で鍛え上げられた戦う精神を宿した指揮官は、悲願達成へ向け、今日もタクトを強く握りしめている。(取材・写真:沢井史)