野球漫画『MAJOR』の編集者である宮坂保志さんが神奈川県川崎市宮前区の少年野球チーム『水沢ライナーズ』で行った画期的な改革。子どもが6人から現在の22人へと増えた要因を岩崎正人部長と中尾幸靖マネージャーに聞かせていただいたシリーズも今回が最終回です。最後にお二人に水沢ライナーズが目指す理想の野球チームについてお話を伺いました。
――「勝利至上主義」から脱却し、子どもたちの未来を考えた改革でチーム再建に成功した水沢ライナーズですが、子どもたちの野球離れについてはどうお考えですか?
岩崎 野球離れも含め、スポーツをやる子とやらない子の二極化が深刻です。昔は運動が得意不得意関係なく、泥だらけになって日が暮れるまで遊ぶのが当たり前でした。でも、最近の子どもは公園に集まってゲームをしますから。スポーツに熱心な子とそうでない子の差が激しいです。トータルで考えると基礎体力は昔に比べて落ちていると感じます。
中尾 それに加え、野球は坊主頭を強制するチームが未だにありますし、やるにしてもバットやグラブなど道具が必要となります。他のスポーツと比べるとどうしても覚悟を求められたり、金銭的な負担が大きいですね。
――どうしてもマイナスなイメージが先行してしまい、子どもに野球を勧める保護者が昔に比べて減っているのかもしれません。
岩崎 昔は遊びや、友だちの繋がりから気軽に野球をしていたのですが、今はまずお母さんの許しを得ないとできない雰囲気がありますよ(笑)。
中尾 大人が持つマイナスなイメージを払拭するためにも、昔ながらのお茶当番はうちにはないんですよ。「お茶当番がある」と聞くとお母さん方が一歩引いてしまうことがあるので。
岩崎 共働きの家庭もありますし、練習や試合も無理をして来てもらうことはありません。ただ、だからといって何もしなくていいわけではありません。試合になれば車移動もありますし、チームとして参加する地域活動には我が子と一緒になるべく参加して欲しいですね。
――最後になりますが、お二人が考えるチームの理想と、今後の活動への意気込みを教えていただけないでしょうか。
岩崎 筒香嘉智選手(横浜DeNA)の出身チームでもある大阪の「堺ビックボーイズ」のように「うちはこういうスタイルですよ!」とアピールし、その理念に賛同した人たちが集まってチーム運営していくのが理想ではないでしょうか。改革には成功しましたが、うちはまだそこまでの段階ではありません。厳しくするのではなく、なるべく褒めて伸ばし、自分の力で考えることができる子どもをグラウンドで育てる。このような理念をさらに打ち出していきたいと思っています。
中尾 『エンジョイベースボール』と謳っているように、子どもたちが野球を楽しいと感じられる環境を作っていきたいです。野球は続けようと思えば一生続けられるスポーツだと思います。だけど、小さい時に怪我をしてしまい大人になって満足に投げられな、そういった経験はしてほしくないです。「野球人口は減っているが、ライナーズの人数は増えている」と周りから認知され、私たちの活動がより多くの人に伝わって欲しいですね。
練習を覗くと、子どもたちに厳しい声をかける大人は一人もいませんでした。ミスをしても「惜しい」「よく頑張った」と笑顔で声をかけ、成功すれば「ナイスプレー!」と子どもたちを誉める姿が印象に残りました。
水沢ライナーズのような今までになかった新しいスタイルを持った少年野球チームが今後全国各地で増えていけば、野球人口減少の歯止めになるかもしれません。(取材・写真:細川良介)
――「勝利至上主義」から脱却し、子どもたちの未来を考えた改革でチーム再建に成功した水沢ライナーズですが、子どもたちの野球離れについてはどうお考えですか?
岩崎 野球離れも含め、スポーツをやる子とやらない子の二極化が深刻です。昔は運動が得意不得意関係なく、泥だらけになって日が暮れるまで遊ぶのが当たり前でした。でも、最近の子どもは公園に集まってゲームをしますから。スポーツに熱心な子とそうでない子の差が激しいです。トータルで考えると基礎体力は昔に比べて落ちていると感じます。
中尾 それに加え、野球は坊主頭を強制するチームが未だにありますし、やるにしてもバットやグラブなど道具が必要となります。他のスポーツと比べるとどうしても覚悟を求められたり、金銭的な負担が大きいですね。
――どうしてもマイナスなイメージが先行してしまい、子どもに野球を勧める保護者が昔に比べて減っているのかもしれません。
岩崎 昔は遊びや、友だちの繋がりから気軽に野球をしていたのですが、今はまずお母さんの許しを得ないとできない雰囲気がありますよ(笑)。
中尾 大人が持つマイナスなイメージを払拭するためにも、昔ながらのお茶当番はうちにはないんですよ。「お茶当番がある」と聞くとお母さん方が一歩引いてしまうことがあるので。
岩崎 共働きの家庭もありますし、練習や試合も無理をして来てもらうことはありません。ただ、だからといって何もしなくていいわけではありません。試合になれば車移動もありますし、チームとして参加する地域活動には我が子と一緒になるべく参加して欲しいですね。
――最後になりますが、お二人が考えるチームの理想と、今後の活動への意気込みを教えていただけないでしょうか。
岩崎 筒香嘉智選手(横浜DeNA)の出身チームでもある大阪の「堺ビックボーイズ」のように「うちはこういうスタイルですよ!」とアピールし、その理念に賛同した人たちが集まってチーム運営していくのが理想ではないでしょうか。改革には成功しましたが、うちはまだそこまでの段階ではありません。厳しくするのではなく、なるべく褒めて伸ばし、自分の力で考えることができる子どもをグラウンドで育てる。このような理念をさらに打ち出していきたいと思っています。
中尾 『エンジョイベースボール』と謳っているように、子どもたちが野球を楽しいと感じられる環境を作っていきたいです。野球は続けようと思えば一生続けられるスポーツだと思います。だけど、小さい時に怪我をしてしまい大人になって満足に投げられな、そういった経験はしてほしくないです。「野球人口は減っているが、ライナーズの人数は増えている」と周りから認知され、私たちの活動がより多くの人に伝わって欲しいですね。
練習を覗くと、子どもたちに厳しい声をかける大人は一人もいませんでした。ミスをしても「惜しい」「よく頑張った」と笑顔で声をかけ、成功すれば「ナイスプレー!」と子どもたちを誉める姿が印象に残りました。
水沢ライナーズのような今までになかった新しいスタイルを持った少年野球チームが今後全国各地で増えていけば、野球人口減少の歯止めになるかもしれません。(取材・写真:細川良介)