ニュース 2019.07.05. 17:57

都立城東・内田監督に聞いた、今どきの子どもたちとの接し方




■大事なことを伝える時はなるべく1対1


――おそらく昔の方が厳しい指導だったはずだとは思うのですが、やんちゃ坊主は多かったということですか?

スパルタ指導といえばそうでしたが、僕らの時代は学校も緩く茶髪OKでしたから。ただ、僕は真面目でしたけどね(笑)。実は今も昔もうちは坊主頭強制ではありません。髪型に関して何も言っていないのですが(グラウンドを見渡すと)みんな短いですよね。そういった辺りも良い子の集まりですよ。

僕らの頃は大人の前は良い子を演じたり、監督の顔色を窺ったり、ちょっとずる賢い考えが「上手い」と評価される時代でした。でも、今の子どもにそれはできません。携帯電話の世界ならできるかもしれませんが、グラウンドで二面性を出すことは無理。小さい頃から大人の言うことをちゃんと聞き、反抗することがなかった生徒ばかりですから。

――そういった気質の子どもに対し、昔のように指導者がガンガン引っ張っていく指導は合わないのかもしれませんね。

城東に赴任する前の高校では、僕も若かったので監督が部の先頭に立って引っ張っていくスタイルをしていました。でも、今の子どもには合わないと気づきましたし、引っ張る方も引っ張られる方もお互い苦しくなると理解しました。だから、今は選手たちの前で声を荒げることはありませんよ。大事なことを伝える時はなるべく1対1で話すようにしています。

――チームは大所帯ですから、集合させてみんなの前で伝える方が効率的な気もしますが?

確かにそうかもしれません。個々との対話は時間もかかりますし、選手一人ひとりの性格などを理解しなければいけませんから。でも、教師ってそれが一番の仕事ではないでしょうか? 子どもたちが自分の足で歩けるようにサポートをする。そして、道の途中で立ち止まったり、横道に逸れてしまいそうな生徒をその子に合った方法で正していく。それが指導者にとって必要なことだと私は思いますね。

子どもの気質を変えるのではなく、子どもの気質に合った指導スタイルを模索する内田監督。ご自身が育ったグラウンドで、子どもたちをつぶさに観察し、愛情をもって今日も接しています。(取材・写真:細川良介)

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