■部活動=生涯スポーツの入り口
――ここ最近の流れを見ていると、部活動が縮小傾向にありますが、中学校における部活動の役割をどのように考えていますか?
大野 まず言えることは、部活動は絶対に必要、ということです。私の場合は野球部を見ているので「スポーツ」という観点になりますが、生涯スポーツとしての入り口が中学校になかったとすると、スポーツに触れることなく、大人になる子が増えていくと思うのです。スポーツをすることで、学校の授業とはまた違った何かを学べるはずです。たとえば、挨拶や礼儀、時間の使い方など、社会に出ても役立つことを学べるとしたら、部活動には大きな意義があると思います。
――部活動を地域スポーツクラブに移す話も出てきています。
大野 その考えもわかりますが、地域にその受け皿があるのかとなると、現時点ではどうでしょうか。それに、どうしてもお金がかかってくる話です。お金を払える家庭しか、スポーツができなくなるのには抵抗があります。
――ちなみに部費はどのぐらいですか?
大野 保護者会費として、月に1000円です。さまざまな家庭があるので、電車やバスを使った遠征もやっていません。練習試合は自転車で行ける範囲にとどめて、極力、お金がかからないようにしています。
――軟式野球の意義はどう考えていますか?
大野 中学から野球をやりたい子にとっては、恐怖感の少ないボールだと思います。それに中学校のグラウンドでの活動と考えたときに、環境的に硬球を扱うのは無理です。軟式野球と硬式野球がうまく共存することで、子どもたちが選択できる環境があるのが理想ではないでしょうか。
(取材・写真:大利実)