ニュース 2019.07.29. 17:00

【球数制限を考える】気になる甲子園で多投した投手のその後



■投手の可能性の「先食い」ではないか


プロ野球で成功する投手は、ほんの一握りだ。成功できない投手が大部分ではある。
しかし、甲子園でエースとして投げまくった投手は、同世代ではトップクラスの能力を有していたのは間違いない。その時点では、同世代の頂点として期待されていた投手が、大学、プロと進むにつれて、次第にトップクラスの評価ではなくなり、プロではほとんど活躍できなくなってしまう。
この背景に「甲子園での投げすぎ」の影響がなかったと断言することはできない。
一つには「燃え尽き」の問題がある。精神的な「燃え尽き」つまり、バーンアウト、目標を達成した後の虚脱感が、その後のキャリアに影響を与える可能性もあろう。

またフィジカル面で言えば、短期間に過酷な運動を繰り返すことで、その後のパフォーマンスが低下することも考えられる。日本の高校球児はほとんどが、じん帯を損傷しているといわれる。NPBからMLBに移籍する投手のメディカルチェックが極めて厳しいのは、そのためだが、松坂大輔、ダルビッシュ、田中将大など、ほとんどの投手が「要注意」の状態で海を渡っている。そしてその後、トミー・ジョン手術を受けるケースも非常に多い。
甲子園での過酷な登板は、投手の可能性の「先食い」につながり、選手寿命を縮めることにつながる。
この表からは、そういう客観的な傾向を読み取ることが可能ではないか。(広尾晃)

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