■(2)投手の個性、投球タイプの問題
投手の個性、特性、投球のタイプによっても球数は大きく変動する。
・奪三振が多い投手は、打たせて取る投手よりも球数は増加する傾向にある
打者との力量差があっても、その投手が「奪三振」にこだわりを見せる、いわゆるパワーピッチャーである場合、球数は増加する。三振は打者一人に対し少なくとも3球は投げる必要があるため、球数は増加しやすい。三振を狙う投手はストライクゾーンの球を振らそうとするため、球数はかさみやすい。またパワーピッチャーは速球主体で投げ込むため、肩ひじへの負担は大きくなる傾向がある。
反対に打たせて取るタイプの「軟投型」の投手は、1球で相手をしとめることもできるので球数は少なくなる。タイミングを外すような緩いボールを投げることも多いので、パワーピッチャーに比べて肩ひじへの負担は軽くなる傾向にある。
・制球が良い投手は球数が減少し、悪い投手は球数が増加する傾向にある
当然の話だが、コントロールが良い投手はストライクが先行するので打者と有利に対戦することができ、球数を減らすことが可能になる。ストライクが先行すると打者は追い込まれないうちに打とうとするので早打ちになる。反対にコントロールが悪い投手は、ボールが先行するので球数が増える。打者も好球を待ってじっくり粘るようになる。
・球種が多い投手は球数が増加する傾向にある
多彩な変化球を持つ投手は、配球が複雑になり、球数が増加する傾向にある。打者は、変化球が多い投手の場合、球種をじっくりと見極めようとするので、早打ちを控えるようになる。また捕手も多彩な球種を使って打ち取ろうとするので、1球勝負、3球勝負でなく、球数をかけて勝負しようとすることが多い。
変化球の中には、スライダーやフォークのように、速球以上に肩ひじへの負担が大きい球種もある。
・先発投手より救援投手の方が球数が増加する傾向にある
これは一般論だが、救援投手は先発投手より、より緊迫した状況でマウンドに上がることが大きいため、球数が増加する傾向にある。救援投手自身も、対戦する打者数が少ないため、効率的に打ち取るよりも慎重に打ち取ることを心掛けるため、球数は増加する傾向にある。