■1時間以上座ったら軽く運動を
週末ごとに練習試合があったり、夏休みなどの期間であれば遠征や合宿などに出かけることなどもあると思います。チームによっては遠征先までバスや車などで移動することもあるでしょう。長時間にわたってバスで移動する場合、同じ姿勢を続けていることによって腰が痛くなったり、座席スペースが小さくて足が十分に伸ばせなかったりといったことも考えられます。
こうした移動中のコンディショニングで気をつけたいことは、なるべく時間に余裕をもたせ、適度に休憩をとって体を動かすことがあげられます。できれば1時間以上座ったらどこかで休みを取って、立って軽く歩くことができればベストです。時間的にむずかしい場合は座った状態で足首をゆっくり回したり、足を膝上にかけてお尻のストレッチを行ったりするとよいでしょう。また座っている姿勢が崩れてくると腰背部に負担がかかってくるので、なるべく腰椎が反らないようにクッションなどを使って姿勢良く過ごすことも大切です。フットレストのような足置きがあると膝の位置が少し高くなって座った姿勢が崩れにくくなります。
■着いたら2つのストレッチ!
目的地についたらまずは周囲を歩きながら軽くストレッチを行うようにしましょう。特に背中や腰、お尻の筋肉が張っていると腰椎が反りやすく、もともと腰痛に悩まされている選手は、かなりのストレスを感じることになると思います。寝転がって片膝ずつ抱え、背中、腰周辺、お尻の筋肉をゆっくりと伸ばすようにしましょう。さらに両膝を曲げた状態で軽く左右に振るようにするとかたまっていた骨盤の動きも良くなります。
【ポイント】
(1)寝転がって片膝ずつ抱えて下半身のストレッチを行う
(2)両膝を曲げた状態で左右にゆっくりひねると骨盤の動きが良くなる
また太ももの後ろ側の筋肉(ハムストリングス)が張ってしまうと、こちらも腰椎への負担が大きくなりますので、下半身を中心としたストレッチも入念に行うようにします。その後、試合や練習開始時間から逆算して通常のウォームアップに入るようにしましょう。動かないことによる疲労をなるべく早くとりのぞき、なるべく良いコンディションで野球ができるよう、移動後のストレッチもウォームアップとセットで実践することを心がけましょう。
著者プロフィール
アスレティックトレーナー/西村典子(にしむらのりこ)
日本体育協会公認アスレティックトレーナー、NSCA-CSCS、 NSCA-CPT。東海大学スポーツ教育センター所属。高校、大学など学生スポーツを中心としたトレーナー活動を行う一方で、スポーツ傷害予防や応急処置、トレーニングやコンディショニングに関する教育啓蒙活動を行う。また一般を対象としたストレッチ講習会、トレーニング指導、小中学生を対象としたスポーツ教室でのウォームアップやクールダウンといったさまざまな年齢層への活動がある。一般雑誌、専門誌、ネットメディアなどでも取材・執筆活動中。
大阪府富田林市出身。奈良女子大学文学部教育学科体育学専攻卒。