■「基本に立ち返る」ことができるように
堺ビッグボーイズはこのBBCOR仕様のバットを輸入し、フューチャーズリーグで使用した。それによって、多くのメリットがあることがわかった。
打球が飛ばなくなったことで、投手は思い切ってストライクゾーンに投げ込むことができるようになった。また極端な打撃戦が少なくなった。これによって投球数が減少した。
また打球速度も遅いので、野手は落ち着いて打球を処理することができるようになった。さらに打者も、しっかり引き付けて打たないと打球が飛ばないので、手打ちや強引なフォームでの打撃が減った。
いわば投手も野手も打者も「野球の基本に立ち返る」ことができるようになった。
打球の速度が遅くなることで、怪我のリスクが減ったのは言うまでもない。
■「未来へ向けた準備」を
こうした成果を踏まえ、堺ビッグボーイズをスポンサードするプロスペクト株式会社はBBCORのライセンスを取得し、国産初の低反発金属バットを製造、販売することになった。
現在のところ、このバットは高校、中学の公式戦では使用できないが、高反発金属バットと併用することで、本来の打撃を確認しながら練習することができる。今の野球に励みながら「未来へ向けた準備」もできるのだ。
世界の高校野球で、高反発金属バットを使用しているのは、ほとんど日本だけになりつつある。低反発金属バットの導入は世界の趨勢と言ってもいいだろう。
高校、中学野球の指導者はBBCOR仕様のバットの感触を実感する機会を持ったほうが良いのではないだろうか。(記事・写真:広尾晃)