■子どものうちは左投げでも色んなポジションをやってみる
――その他に少年野球について思うことなどはありますか?
辻「大学でピッチャーを教えていて、ある時ピッチャーだけを集めて『好きなポジションに入っていいぞ』って言ってノックをやったんですね。そうしたら左ピッチャーはみんなファーストか外野にしか行かないんです。おそらくですけど、左投げの選手は小さい頃からピッチャーかファースト、外野しかやってきていないと思うんですよね。固定観念で左利きの子のポジションが決めつけられているように思います。子どものうちは右投げでも左投げでも色んなポジションをやってみる。左投のキャッチャーやショートがいてもいいと思うんです。左ピッチャーにフィールディングが上手くない選手が多いと思っているのですが、その影響ではないでしょうか。小さなことですが、少年野球のそういうところから変わると野球全体も変わっていくのかもしれませんね」
――現在は少年世代の野球人口が減っていることも問題視されています。
辻「極端なことを言うと、小学生の試合は大会じゃなくて交流試合でいいと思います。あと場所などの環境的な問題もある中で、一つのグラウンドを一つのチームが独占して使うというのもあまり良いことではないですよね。そのグラウンドにみんなが来てみんなでやればいいと思うんです。ユニフォームがなければ短パンとTシャツでもいいです。そうやって野球と触れ合う中で楽しさや色んなことを学ぶことがスタートじゃないでしょうか」
――子どもが野球を始めることのハードルが今は高い印象がありますね
辻「そうですね。ハードルはどんどん下げて、どんな形でもまずやってみる。道具を揃えるのが大変なら友達同士で貸し借りすればいい。揃ってやる必要はないと思いますね」
(取材・西尾典文/写真:編集部)