ニュース 2019.09.09. 17:28

子どもの成長期に起こりやすい痛み、「シンスプリント」と「オスグッド」を知っておこう

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成長期の子どもは自分の体重を支えるだけの筋力を十分に備えていないことも多く、投球動作やランニングフォームなどが安定しないことによるケガも起こりやすいと考えられます。体力レベルにあった練習量や練習内容を踏まえた上で、この時期に起こりやすい脛(すね)や膝の痛みについて確認しておきましょう。

体力レベル以上の運動負荷がかかり、特にアスファルトなど硬い地面を走っていると脛の前側が痛くなることがあります。脛の骨膜が炎症を起こした状態で一般的には「シンスプリント」と呼ばれるものです。

シンスプリントは運動量の増加によるオーバーワークはもちろんのこと、成長段階で関節や骨の配列が不安定な状態(マルアライメント)によるもの、足裏アーチがあまり見られない偏平足など荷重ストレスが直接足首や脛などにかかってくるもの、脛やふくらはぎの筋肉が硬く、骨の付着部を牽引して痛みを起こすものなどが挙げられます。脛がよく痛くなりやすいという選手は、脛とふくらはぎ部分のストレッチを入念に行うようにしましょう。
また足の甲やすねの筋肉が硬くなってしまうと、足裏を地面につけたときに足指が浮いてしまう「浮き指」になりやすくなります。浮き指を予防するためには5本指ソックスを使用したり、足裏でグーパー運動を行うなど足指を一本一本独立させて使うことを心がけましょう。

また太ももの前側の筋肉が硬くなってしまうと、膝下の骨に痛みを起こすことがあります。これも骨への牽引ストレスによる痛みで一般的には「オスグッド」(オスグッド・シュラッター病)と呼ばれるものです。

安静にしていると痛みは軽くなることが多いですが、運動を行うと痛みを繰り返すことが多いため、太ももの前側を中心に股関節周辺部なども入念にストレッチを行うことが大切です。ただしストレッチで痛みが悪化する場合はムリに行わず、自分で軽く太ももをほぐす程度にとどめておきます。またオスグッドバンドという専用のサポーターを使うと、太ももの前側にある筋肉の牽引力をやわらげることが期待できます。

成長期は体が硬くなりやすい特徴があり、牽引ストレスから骨を傷めやすいことが考えられます。脛や膝下が痛いという場合は練習量の見直しと患部の安静を優先させ、痛みのある状態でプレーを続けないようにすることが大切です。

著者プロフィール


アスレティックトレーナー/西村典子(にしむらのりこ)
日本体育協会公認アスレティックトレーナー、NSCA-CSCS、 NSCA-CPT。東海大学スポーツ教育センター所属。高校、大学など学生スポーツを中心としたトレーナー活動を行う一方で、スポーツ傷害予防や応急処置、トレーニングやコンディショニングに関する教育啓蒙活動を行う。また一般を対象としたストレッチ講習会、トレーニング指導、小中学生を対象としたスポーツ教室でのウォームアップやクールダウンといったさまざまな年齢層への活動がある。一般雑誌、専門誌、ネットメディアなどでも取材・執筆活動中。
大阪府富田林市出身。奈良女子大学文学部教育学科体育学専攻卒。
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