■次第に伸び伸び野球をし始める
オープニングラウンド、初戦のスペイン戦、日本は苦戦する。スペインの先発ルナの勢いのある速球を打ちあぐねた。
日本の打者はバットが振れていない。1回、2番の坂下翔馬(智弁学園)は、こするようなファウルを何球も打った挙句に二ゴロ。金属バットへの対応はできていないと感じられた。
4回に、打順が一巡したスペインは数少ないチャンスを活かして2点を先制。日本は敗色濃厚となったが、105球の球数制限によって7回でルナが降板。8回から投手はフランク・フェルナンデスに変わったが、制球が今一つのこの右腕を日本打線が攻略し、4点を奪い返し、辛勝した。
日本は「球数制限」によって勝ちを拾ったということもできるだろう。また高反発の金属バットから木製バットに持ち替えたものの、十分に対応はできていなかった。また選手には硬さが見られ、甲子園大会の疲れから回復していない印象の選手もいた。
二戦目の南アフリカ戦、立ち上がりは出塁した走者をバントで送ろうとするなど、慎重な試合運びだったが、投手の実力が明らかになると、選手は伸び伸びと野球をするようになる。
昨年までと大きく違ったのは、木製バットを金属バットのように振り回さず、速く鋭く振っていたことだ。ライナー性の打球が多くなり、大量得点した。19-0で6回コールド。南アフリカはノーヒットで、走者は1人だけだった。
南アフリカはWBSCのランキングは26位のスペインより上の23位だったが、日本との実力差は明らかだった。
西純矢(創志学園)は2本塁打した。機帳の各球場は左右中間のふくらみがなく、本塁打が出やすい球場だが、西のホームランはいずれも左中間にライナーで飛び込む当たりだった。
三戦目のアメリカ戦は、ナイターになった。しかも試合開始時から雨が降り続き、コンディションは悪かった。また、球場の照明は明るいとは言えなかった。
この日以降、雨の日が多くなったが、日本チームの失策が増えた一因だったろうと思われる。
日本はアメリカに初回に先制されたが、その裏に追いつき、3回、4回と5点ずつを取った。四死球が多く、相手投手の不調に助けられた形だが、アメリカの追撃を振り切って16-7で大勝した。
■チームの流れが暗転
チームの流れが暗転したのは、四戦目の台湾戦だった。
台湾は昨年のU-18アジア選手権大会でも日本に勝利した王彦程が先発。王は8月20日に楽天と育成契約を結んでいる。
日本は初回に石川昂弥(東邦)が先制タイムリー。3回に台湾が追いつく。このまま5回まで進んだが、台湾は2つの遊ゴロ失策を足掛かりに2点を取る。この後、降雨が激しくなり、コールドゲームとなった。
優秀な投手に対すると、木製バットに慣れない日本打線は湿りがちとなった。
この試合で勝てばスーパーラウンドへの進出が確定したが敗れたことで、最悪の場合敗退の可能性さえでてきた。
このプレッシャーの中でパナマとの五戦目、この日も降雨で試合開始は19時半から。2回に1点ずつを取り合ったが、日本は5、6回に2本のホームランなどで4点を奪う。6回に降雨でコールドゲームとなった。
スーパーラウンド一戦目、日本は満を持して奥川恭伸(星稜)が先発。奥川は7回を2被安打本塁打の1失点に抑え、18奪三振を奪う。日本の打線は3安打だったが、相手投手が乱調で11個もの四死球を出したこともあって、5対1で勝利した。
スーパーラウンドではオープニングラウンドの勝敗が持ち越される。1敗している日本は、負けられない展開ではあった。
そんな中で、二戦目の韓国戦を迎えた。
日本は佐々木朗希(大船渡)が先発したが豆がつぶれて1回、19球で降板。日本は急遽、西純矢(創志学園)が上がる。
7回に日本は韓国の先発ソ・ヒョンジュンを攻略して2点を先制、しかし8回に宮城大弥(興南)がつかまり同点に追いつかれる。この失点にも三塁の失策が絡んだ。
このままタイブレークとなり、日本は無死一二塁の設定から、犠打で二三塁として武岡龍世(八戸学院光星)が2点タイムリー二塁打。しかし続く韮澤雄也(花咲徳栄)が遊直に倒れる。その裏に韓国は失策と四球で無安打のまま3点を取ってサヨナラ勝ち。
日本は韓国の9安打を上回る10安打を打ったが自滅した形となった。
この敗戦で、決勝への出場は絶望的となったがわずかな望を託して四戦目のオーストラリア戦を迎えた。
しかし日本は、わずか3安打。オーストラリア投手は5四死球を与えたが、それを活かすこともできず1-4で敗れ、5位が決定した。