今回の質問・お悩み
サッカーでは「デュアルタスク(二重課題)」トレーニングを取り入れているチームがあるそうです。
野球で例えれば、送りバントの練習をするときに、
・ファーストがチャージしてきたら三塁側に転がす
・サードがチャージしてきたら一塁側に転がす
という条件をつけることにより、子どもに瞬時に「状況」を「認知」し、「判断」して、「実行」する力を養う、というような感じかと思います。
この『デュアルタスク(二重課題)』のトレーニングを自分のチームでも取りれてみようかなと思っているのですが、上記の例以外で、野球ではどんな場面で『デュアルタスク(二重課題)』が求められますか? また、そもそもこのトレーニングは野球に有効だと思いますか?
廣川さんの答え
■そもそも『デュアルタスク』(二重課題)とは
学術的な定義は正確には存じ上げないのですが、知的判断と運動を同時に行うことを『デュアルタスク』と称され、軽度認知症の改善などで効果をあげているという話を聞いたことがあります。またスポーツにおいても、同じような運動能力の選手においても、知的判断との組み合わせ作業を行わせるとパフォーマンスに差が出ると言った論文も読んだことがあります。広義に言えば、古くから言われている「頭を使ってプレーする」は『デュアルタスク』と言えるでしょう。
■野球における『デュアルタスク』の重要度
以前、私のブログでも触れたことがあるのですが、よく言われる「野球センス」というのは、この『デュアルタスク』の考え方に近いものがあります。私は「野球センス」とは、
(1)状況判断の正しさ
(2)状況に対処する対処法選択の正確さ
(3)選択した対処法の遂行能力
に要素分解できると思います。
(1)〜(3)の全てを兼ね備えたプレーが完成した時、周囲から「センスが良い」という賞賛を得られるように思います。野球は単純な運動能力の高い選手が必ずしも活躍するわけではないので、『デュアルタスク』の能力は必要だと思います。そしてこれらは「状況判断」「意思決定」「行動に移す」という、いわゆる『デュアルタスク』のトレーニングを継続することで磨かれていくと思います。