全4回に渡ってご紹介してきました「足が遅い原因を考える」シリーズ。反響の大きかったため、足が遅い原因、そして足が速くなるための練習方法を改めてご紹介します。
「速く走る」という動作は「足の回転数(ピッチ)を上げる」ということと「一歩一歩の歩幅(ストライド)をひろげる」ことを掛け合わせることによって成り立っています。ピッチが上がれば上がるほどスピードが上がり、ストライドが広くなると一歩当たりの前に進む距離が増えます。
壁を使った腿上げなどを行い、股関節の前側にある腸腰筋を意識しましょう。このときに地面についた足が後ろに流れてしまわないように足底全体で地面をとらえたらすぐに腿上げの動作に切り替えるようにします。最初はできるペースからはじめ、どんどんとペースアップしていくといいですね。メトロノームなどを使ってリズムを刻むこともよい練習になります。
より速く」走るためには正しい姿勢で走ることが大切です。私たちはスマホをのぞき込んだり、背中を丸めて前屈みになっていることが多いため、どうしても頭が前に出て首の後ろに負担のかかるような姿勢をとることが多くなっています。こうした姿勢を改善することから始めてみましょう。
・壁ぎわに立つ
↓
・頭の後ろ、背中、かかとの3点を壁にしっかりとつける
↓
・姿勢を維持しながらゆっくりと歩行(頭の位置を体のラインにあわせながら歩く)
↓
・姿勢が維持できるようになったら少しずつ走り出す(スピードを上げても姿勢が変わらないように意識)
(壁ぎわではなくその場でも姿勢を改善できるエクササイズ)
・足を肩幅程度に開いた状態で立つ
↓
・肘を90度に曲げ、手の平を上にして前に出す
↓
・この姿勢から背中の肩甲骨を内側にしめるようにして、腕を大きくゆっくりと左右に広げる
↓
・広げたところから元の状態に戻す(これを10回程度繰り返す)
・左右に広げたところで手の平を返し、そのまま自然に腕を体につけるようにして下ろす
足が遅い原因はどうしても足の運び方に問題があると思いがちですが、体全体の使い方が大きく関与します。見直していきたいポイントの一つとして腕の振り方が挙げられます。
腕は足と連動して動くため、腕を素早く動かせば動かすほど、足のピッチが上がります。両手は拳をグッと握りしめるほど力強くするのではなく、ややゆるんだ状態に保つと腕の振りがスムーズになります。「卵を持つように」と表現される場合もありますが、拳を硬く握らないことはポイントの一つと言えるでしょう。
サポートする人が腕を振る人の後方に立って肘を引く場所に手を添え、腕を振る人はその手のひらに自分の肘が当たるまでしっかりと引き寄せるようにする。
このとき、大きく腕を振ると肩まで大きく揺れてしまい、体全体にひねり動作が入ってしまうことがありますが、肩のラインはまっすぐに保って体をひねらないようにすることも大切です。体全体はしっかりと正面を向き、腕だけを大きく前後に動かすようにすると力のロスを少なくして走ることができます。
速く走るための基本原則は「足の回転数を上げる」×「歩幅をひろげる」ですが、速く走ろうとするあまり、着地足が体から離れた前方の位置に接地してしまうと足は踵から着地してしまいます。踵着地は接地するたびにブレーキとなってしまうだけではなく、太ももの裏側にも大きな負担を強いる走り方となってしまいます。太ももの肉離れは筋力や柔軟性だけではなく、走り方や着地によっても起こりやすいと言えるでしょう。
ペットボトルや缶を地面に置き、足裏全体で踏みつぶす感覚を養うことで、地面から受ける力を身体に伝えることができるようになります。実際に踏みつぶすのではなく、近くにおいてイメージトレーニングの一環として行ってみましょう。
アスレティックトレーナー/西村典子(にしむらのりこ)
日本体育協会公認アスレティックトレーナー、NSCA-CSCS、 NSCA-CPT。東海大学スポーツ教育センター所属。高校、大学など学生スポーツを中心としたトレーナー活動を行う一方で、スポーツ傷害予防や応急処置、トレーニングやコンディショニングに関する教育啓蒙活動を行う。また一般を対象としたストレッチ講習会、トレーニング指導、小中学生を対象としたスポーツ教室でのウォームアップやクールダウンといったさまざまな年齢層への活動がある。一般雑誌、専門誌、ネットメディアなどでも取材・執筆活動中。
大阪府富田林市出身。奈良女子大学文学部教育学科体育学専攻卒。
■足が遅い原因(1)|足の回転が遅い
「速く走る」という動作は「足の回転数(ピッチ)を上げる」ということと「一歩一歩の歩幅(ストライド)をひろげる」ことを掛け合わせることによって成り立っています。ピッチが上がれば上がるほどスピードが上がり、ストライドが広くなると一歩当たりの前に進む距離が増えます。
【練習方法】足の回転数を上げるトレーニング
壁を使った腿上げなどを行い、股関節の前側にある腸腰筋を意識しましょう。このときに地面についた足が後ろに流れてしまわないように足底全体で地面をとらえたらすぐに腿上げの動作に切り替えるようにします。最初はできるペースからはじめ、どんどんとペースアップしていくといいですね。メトロノームなどを使ってリズムを刻むこともよい練習になります。
■足が遅い原因(2)|姿勢が悪い
より速く」走るためには正しい姿勢で走ることが大切です。私たちはスマホをのぞき込んだり、背中を丸めて前屈みになっていることが多いため、どうしても頭が前に出て首の後ろに負担のかかるような姿勢をとることが多くなっています。こうした姿勢を改善することから始めてみましょう。
【練習方法】姿勢を正して歩く(1)
・壁ぎわに立つ
↓
・頭の後ろ、背中、かかとの3点を壁にしっかりとつける
↓
・姿勢を維持しながらゆっくりと歩行(頭の位置を体のラインにあわせながら歩く)
↓
・姿勢が維持できるようになったら少しずつ走り出す(スピードを上げても姿勢が変わらないように意識)
【練習方法】姿勢を正して歩く(2)
(壁ぎわではなくその場でも姿勢を改善できるエクササイズ)
・足を肩幅程度に開いた状態で立つ
↓
・肘を90度に曲げ、手の平を上にして前に出す
↓
・この姿勢から背中の肩甲骨を内側にしめるようにして、腕を大きくゆっくりと左右に広げる
↓
・広げたところから元の状態に戻す(これを10回程度繰り返す)
・左右に広げたところで手の平を返し、そのまま自然に腕を体につけるようにして下ろす
■足が遅い原因(3)|腕の振り方
足が遅い原因はどうしても足の運び方に問題があると思いがちですが、体全体の使い方が大きく関与します。見直していきたいポイントの一つとして腕の振り方が挙げられます。
腕は足と連動して動くため、腕を素早く動かせば動かすほど、足のピッチが上がります。両手は拳をグッと握りしめるほど力強くするのではなく、ややゆるんだ状態に保つと腕の振りがスムーズになります。「卵を持つように」と表現される場合もありますが、拳を硬く握らないことはポイントの一つと言えるでしょう。
【練習方法】腕振りを意識させるエクササイズ
サポートする人が腕を振る人の後方に立って肘を引く場所に手を添え、腕を振る人はその手のひらに自分の肘が当たるまでしっかりと引き寄せるようにする。
このとき、大きく腕を振ると肩まで大きく揺れてしまい、体全体にひねり動作が入ってしまうことがありますが、肩のラインはまっすぐに保って体をひねらないようにすることも大切です。体全体はしっかりと正面を向き、腕だけを大きく前後に動かすようにすると力のロスを少なくして走ることができます。
■足が遅い原因(4)|踵から着地している
速く走るための基本原則は「足の回転数を上げる」×「歩幅をひろげる」ですが、速く走ろうとするあまり、着地足が体から離れた前方の位置に接地してしまうと足は踵から着地してしまいます。踵着地は接地するたびにブレーキとなってしまうだけではなく、太ももの裏側にも大きな負担を強いる走り方となってしまいます。太ももの肉離れは筋力や柔軟性だけではなく、走り方や着地によっても起こりやすいと言えるでしょう。
【練習方法】足底全体で地面をとらえることを意識した足上げ
ペットボトルや缶を地面に置き、足裏全体で踏みつぶす感覚を養うことで、地面から受ける力を身体に伝えることができるようになります。実際に踏みつぶすのではなく、近くにおいてイメージトレーニングの一環として行ってみましょう。
著者プロフィール
アスレティックトレーナー/西村典子(にしむらのりこ)
日本体育協会公認アスレティックトレーナー、NSCA-CSCS、 NSCA-CPT。東海大学スポーツ教育センター所属。高校、大学など学生スポーツを中心としたトレーナー活動を行う一方で、スポーツ傷害予防や応急処置、トレーニングやコンディショニングに関する教育啓蒙活動を行う。また一般を対象としたストレッチ講習会、トレーニング指導、小中学生を対象としたスポーツ教室でのウォームアップやクールダウンといったさまざまな年齢層への活動がある。一般雑誌、専門誌、ネットメディアなどでも取材・執筆活動中。
大阪府富田林市出身。奈良女子大学文学部教育学科体育学専攻卒。