■金属バットの「差」で世界で苦戦する高校球児たち
使用する金属バットのギャップは、国際大会での日本チームの苦戦につながっていく。
木製バット、BBCOR仕様のバットしか使用できない国際大会では、反発係数が高い日本の金属バットを使い慣れた日本の高校生は適応できなくなりつつある。
日本の金属バットであれば多少泳いでもスタンドインさせることができるが、BBCOR仕様のバットでは、しっかりひきつけないとボールは飛ばない。最近のU18大会での日本高校生の苦戦は、日本でしか使用していない高反発金属バットの影響が大きいと考えられている。
今夏の甲子園では、飛びすぎる金属バットによると思われるアクシデントが起こっている。
8月10日、岡山学芸館(岡山)と広島商(広島)の試合で、岡山学芸館の先発、丹羽淳平(3年)が1回、広島商の3番水岡嶺(3年)の打球を顔面に受け、病院へ搬送された。病院の診断は「左顔面骨骨折」だった。また13日の智弁学園(奈良)と八戸学院光星(青森)の試合では、9回、 智弁学園の一塁を守る吉村誠人(3年)が、打球を右膝に受けて交代した。
日本高野連は今年9月20日の第3回「投手の障害予防に関する有識者会議」で、飛びすぎる金属バットの性能見直しについても議論し、最大径を現状の67ミリから、木製バットの平均に近い64ミリに減少することが提案された。
■BBCOR基準の導入を
「有識者会議」での金属バットの性能見直しは、進歩だといえるが、すでに日本を除く世界中でBBCOR仕様の金属バットが使われている中、日本の高校野球が独自の基準をさらに別個に設ける必要があるかどうか。そうなれば、高校球児たちは国際大会でこれまでと同様、バットを持ち替えなければならない。改善したといってもギャップが生じる可能性もあるだろう。日本のミズノもBBCOR仕様のバットをすでに販売している。これを導入するのは難しいとは思えない。また国内ではプロスペクト株式会社もBBCOR仕様のバットの製造販売を開始している。
「球数制限」など高校野球の改革が進んでいるのは喜ばしいが、金属バットに関してはシンプルにBBCOR仕様の金属バットに切り替えるのが合理的ではないだろうか。(広尾晃)