練習や試合前のウォームアップは必ず行うチームが多いのに対し、練習後のクールダウンについては各自に任せているチームも多いのではないでしょうか。体を激しく動かした後に何もしないまま過ごしてしまうのと、時間をとってクールダウンを行うのとでは翌日以降のコンディションが大きく変わってきます。クールダウンを行う3つの目的を確認しておきましょう。
【1】疲労回復をうながす(ジョギング)
適度に体を動かすことによって血管の収縮を促し、筋肉内にたまった疲労物質を分解して体外に排出するサイクルを早めます。筋肉痛の軽減にも役立ちます。
【2】柔軟性の回復(ストレッチ)
収縮を繰り返した筋肉をそのままにしておくと、筋肉が緊張した状態のままになってしまいます。クールダウンによって緊張状態をゆるめ、柔軟性が低下することを防ぎます。疲労によるケガの予防にもつながります。
【3】体調を整える
疲労や柔軟性の回復を早めることで、その日の体調を整えることができ、慢性疲労におちいることを予防します。また次の試合に向けてのコンディションを良好に保つことができます。
練習や試合後は軽くジョギングなどで強度の強い運動(この場合は野球のプレー)から軽めの運動へと切り替えます。隣の人と話ができる程度の運動強度で、5分から10分程度時間を取って行います。ジョギングは運動時の心拍数を平常時に戻し、血中にたまった疲労物質をなるべく早く体外へ排出させる働きを促します。またふくらはぎの筋肉を動かすと、そのポンプ作用で血流が良くなることが知られています(ミルキングアクション効果)。
「歩く」「走る」といった動作は必ずふくらはぎの筋肉を動かしますので、こうしたことからもジョギングやウォーキングはクールダウンに適しているといえます。
その後、反動をつけない静的ストレッチを行います。この場合のストレッチはウォームアップとは違って、グランドに座って行うとよいでしょう。各部位のストレッチは20秒〜30秒程度、時間をかけて行うことが理想ですが、あまりクールダウンに時間がかけられない場合は、帰宅して入浴後に各自でストレッチを行うことでも構いません。
また試合後、練習後に痛みのある部位についてはアイシングなどの応急手当を行うようにしましょう。痛みのある部位(炎症症状のあるところ)を悪化させないようにします。
その日の疲労を翌日に残さないためにもクールダウンはぜひ習慣にしたいセルフコンディショニングの一つです。チームや選手自身がクールダウンの重要性を理解し、ぜひ毎日実践していきましょう。
アスレティックトレーナー/西村典子(にしむらのりこ)
日本体育協会公認アスレティックトレーナー、NSCA-CSCS、 NSCA-CPT。東海大学スポーツ教育センター所属。高校、大学など学生スポーツを中心としたトレーナー活動を行う一方で、スポーツ傷害予防や応急処置、トレーニングやコンディショニングに関する教育啓蒙活動を行う。また一般を対象としたストレッチ講習会、トレーニング指導、小中学生を対象としたスポーツ教室でのウォームアップやクールダウンといったさまざまな年齢層への活動がある。一般雑誌、専門誌、ネットメディアなどでも取材・執筆活動中。
大阪府富田林市出身。奈良女子大学文学部教育学科体育学専攻卒。
【1】疲労回復をうながす(ジョギング)
適度に体を動かすことによって血管の収縮を促し、筋肉内にたまった疲労物質を分解して体外に排出するサイクルを早めます。筋肉痛の軽減にも役立ちます。
【2】柔軟性の回復(ストレッチ)
収縮を繰り返した筋肉をそのままにしておくと、筋肉が緊張した状態のままになってしまいます。クールダウンによって緊張状態をゆるめ、柔軟性が低下することを防ぎます。疲労によるケガの予防にもつながります。
【3】体調を整える
疲労や柔軟性の回復を早めることで、その日の体調を整えることができ、慢性疲労におちいることを予防します。また次の試合に向けてのコンディションを良好に保つことができます。
練習や試合後は軽くジョギングなどで強度の強い運動(この場合は野球のプレー)から軽めの運動へと切り替えます。隣の人と話ができる程度の運動強度で、5分から10分程度時間を取って行います。ジョギングは運動時の心拍数を平常時に戻し、血中にたまった疲労物質をなるべく早く体外へ排出させる働きを促します。またふくらはぎの筋肉を動かすと、そのポンプ作用で血流が良くなることが知られています(ミルキングアクション効果)。
「歩く」「走る」といった動作は必ずふくらはぎの筋肉を動かしますので、こうしたことからもジョギングやウォーキングはクールダウンに適しているといえます。
その後、反動をつけない静的ストレッチを行います。この場合のストレッチはウォームアップとは違って、グランドに座って行うとよいでしょう。各部位のストレッチは20秒〜30秒程度、時間をかけて行うことが理想ですが、あまりクールダウンに時間がかけられない場合は、帰宅して入浴後に各自でストレッチを行うことでも構いません。
また試合後、練習後に痛みのある部位についてはアイシングなどの応急手当を行うようにしましょう。痛みのある部位(炎症症状のあるところ)を悪化させないようにします。
その日の疲労を翌日に残さないためにもクールダウンはぜひ習慣にしたいセルフコンディショニングの一つです。チームや選手自身がクールダウンの重要性を理解し、ぜひ毎日実践していきましょう。
著者プロフィール
アスレティックトレーナー/西村典子(にしむらのりこ)
日本体育協会公認アスレティックトレーナー、NSCA-CSCS、 NSCA-CPT。東海大学スポーツ教育センター所属。高校、大学など学生スポーツを中心としたトレーナー活動を行う一方で、スポーツ傷害予防や応急処置、トレーニングやコンディショニングに関する教育啓蒙活動を行う。また一般を対象としたストレッチ講習会、トレーニング指導、小中学生を対象としたスポーツ教室でのウォームアップやクールダウンといったさまざまな年齢層への活動がある。一般雑誌、専門誌、ネットメディアなどでも取材・執筆活動中。
大阪府富田林市出身。奈良女子大学文学部教育学科体育学専攻卒。