ニュース 2019.10.31. 10:54

緊張との上手な付き合い方

無断転載禁止
野球少年、野球少女のお父さん、お母さん、そして少年野球指導者の皆さんにとって役に立つ、勉強になる野球の本を紹介します。
今回紹介するのは、コンディショニングコーチとして近鉄バファローズや千葉ロッテマリーンズ、元ニューヨークメッツ などで活躍された立花龍司さんの『最新! メジャー流 野球コーチング術 投打の基本と、折れない心と体の作り方』(竹書房)です。
中学時代にはボーイズリーグの日本代表に選ばれた経験もある立花さんの著書から一部をご紹介します。




緊張との上手な付き合い方


「緊迫した場面でとても緊張してしまうのですが、どうしたら緊張しなくなりますか?」
そんな質問をよく受けます。

でも考えてみてください。そもそも”緊張はしてはいけない”ものなのでしょうか?

人間が緊張するのは、動物としての本能がそうさせています。サルから人間へと進化してきた過程の中で、人間は他の動物たちとともに、弱肉強食の世界の中で生きてきました。

人間が他の肉食動物に狙われることも当然あったでしょう。そんな時、人間は岩場や草木の影に身を潜め、危険が過ぎるのを待ったはずです。

じっとしながら隠れている時、突然肉食動物が襲いかかってくるようなことがあれば、瞬時に体を動かさなければなりません。

その際、心臓がバクバクすることによって(医学的には動悸といいます)全身に血が巡り、体温が維持されますから、いざ肉食獣に見つかったとしても準備運動なしですぐに逃げることができたわけです。

緊張すると手の平に汗をかきますよね。例えば木登りをする時、手が多少湿った状況と乾いた状況ではどちらの方が登りやすいでしょうか? そう、当然のことながら手の平が乾いていれば滑りやすくなるので、ちょっと湿っているくらいが木登りには適しています。これも動物としての人間の進化のひとつです。

つまり、「緊張したくない」と緊張を避けるよりも、「緊張することは動物として当たり前」くらいの感覚を持って、緊張を受け止めるようにすればいいと思います。

人間が緊張するのは、言ってみれば「戦闘態勢に入った」ということの表れです。緊張を感じたら「ようし、戦う準備が整った!」と思うようにしてみたらどうでしょう。

よく一流のアスリートたちが、インタビューなどで「緊張を楽しめました」と「話しているのを耳にします。

彼らはきっと、緊張するような場面に立ち会えたことに感謝し、そして戦闘態勢に入った自分を楽しんでいるのです。

緊張は「してはいけないもの」とネガティブに捉えるのではなく、「これで俺も戦える」とポジティブに捉える。そういう思考を持っているからこそ、一流アスリートたちは”一流”でいられるのだと思うのです。

ポイント
緊張するのは人間として、動物として当たり前。一流のアスリートは「緊張したくない」と避けるのではなく、「ようし、戦う準備が整った」と緊張を受け止める。

(第2章 「『揺れない心の育み方』ポジティブシンキングがなぜ大切なのか」 より)











■内容紹介■

日米でこんなに違う野球の指導法!

日本「高目は絶対に手を出すな!」
アメリカ「低目は高目より圧倒的に打率が高いから、チーム一丸で低目を狙っていこう!」

どちらが、いい結果を生むでしょうか?

本書では、日本人初のメジャーリーグのコーチとして、ニューヨーク・メッツに入団した立花龍司氏が、日米の野球の指導法を比較しながら、メジャー流のコーチング術と投打の基本について、最先端のテクニックを伝授している。

ちなみに、冒頭の問題は、バッターに「○○するな」と指示した時と、「○○していこう」と指示した時のスイングスピードは、「○○していこう」のほうが力みが抜けている分、1・25倍も速くなるという研究結果がある。 コマンド(命令)だった「○○しろ」が動機付けによってミッション(与えられた任務)となり、そのミッションをみんなで推し進めることによってそこにパッション(情熱)が生まれ、いろんな工夫や知恵が出てくるのだ。

イチローやダルビッシュ有、名将ボビー・バレンタイン監督ら、メジャーで活躍する選手や監督とのエピソードも数多く交えながら、いま最先端とされるピッチング、バッティング理論とコーチング術、さらには、ケガしないための体作り等を写真と図解で分かりやすく解説。可愛い息子さんや教え子が、心も体も折れることなく、少しでも長く野球をプレーできるようになるための知恵と知識がいっぱい詰まった一冊。

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